海市
かいし
名詞
標準
mirage
文例 · 用例
現在は、上海市、フランス・タウン、アルベーローに住む。
— 吉行エイスケ 『新種族ノラ』 青空文庫
浴室の窓からも此が見えて、薄りと湯氣を透すと、ほかの土地には餘りあるまい、海市に對する、山谷の蜃氣樓と言つた風情がある。
— 泉鏡太郎 『飯坂ゆき』 青空文庫
それが現實の世界に穹窿してゐる、現實の青空であることを、初めに人人が錯覺することから、その油繪具のワニスの匂ひと、非現實的に美しい青色とが、この世の外の海市のやうに、阿片の夢に見る空のやうに、妖しい夢魔の幻覺を呼び起すのである。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
餘り靜な、もの音のしない樣子が、夢と云ふよりか其の海市に似て居ました。
— 泉鏡太郎 『人魚の祠』 青空文庫
花の蜃気楼だ、海市である……雲井桜と、その霞を称えて、人待石に、氈を敷き、割籠を開いて、町から、特に見物が出るくらい。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
この鳩を見出した西村眞琴君は昨年一月より三月に亙る上海市街戰の空氣の中で、大阪毎日及び東京日日新聞社を代表し陣中慰問使としてかの地に赴いた人であると聞く。
— 島崎藤村 『桃の雫』 青空文庫
海市でこしらえたチェックの布地 この胴のところ、バンドの幅ほどくくれて居たの何ともたまらず「仕様がないじゃありませんか じゃ、この幅をひだによせて右左に一本ずつたたみましょう、そうすると、真中に合わせめの線があってなるから少しは形がつくでしょう」と手真似して話した。
— 宮本百合子 『一九二七年春より』 青空文庫
かような数万の難民に比べて上海市内に乞食の数は意外に少い。
— 豊島与志雄 『上海の渋面』 青空文庫
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『海市』(かいし)は、福永武彦の長編小説。1968年(昭和43年)、「純文学書下ろし特別作品」の一冊として新潮社より刊行された。文庫版は新潮文庫で刊行されていた。中年の画家と謎めいた若い人妻との恋愛を、主人公や他の登場人物の視点の断片をモンタージュのように挿入しながら描く。題名は蜃気楼を意味している。
出典: 海市 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0