胸甲
きょうこう
名詞
標準
sternum
文例 · 用例
巨きな鉄の胸甲を、がつしりはめてゐることは、ちやうどやつぱり鎧のやうだ。
— 宮沢賢治 『北守将軍と三人兄弟の医者』 青空文庫
美しい近衛胸甲騎兵の行進ではなくて、あの無分別者ぞろいの、短上衣をはだけて胸毛を露き出して、ぷんぷん鹿が落した血の跡を嗅ぎ廻るといった、黒色猟兵だったのです。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
自分は上野の戦争の絵を見る度びに、官軍の冠った紅白の毛甲を美しいものだと思い、そしてナポレオン帝政当時の胸甲騎兵の甲を連想する。
— 永井荷風 『銀座』 青空文庫
女神の胸甲に見ゆる、怪物の顔面は即ち是にして、之を称して「エギス」と云う。
— 高木敏雄 『比較神話学』 青空文庫
胸甲騎兵の将校であった父親とともに南ロシアで過ごされた彼の幼年時代は、あたかもあの悽惨なクリミヤ戦役の直後に当たっており、したがって父の家に集まる軍人たちの血なまぐさい戦争譚に、彼の幼ない情感と献身愛とははげしくかきたてられずにはいなかった。
— 神西清 『「あかい花 他四篇」あとがき』 青空文庫
胸甲をつけた騎馬警官が監獄の門の両側に分れ、キチンと馬首をそろえている間からランドリュが出てきて、襟のないシャツとズボンだけの姿で、素足で舗石を踏みながらギロチンのほうへ歩いて行った。
— 久生十蘭 『青髯二百八十三人の妻』 青空文庫
……ピカピカ光る胸甲をつけた竜騎兵の一隊。
— 久生十蘭 『墓地展望亭』 青空文庫
アートレ,デース身を起し、新たに成れる美はしき衣を纒ひ、戰袍の廣きを上に打はふり、光澤なめらの雙脚にいみじき戰鞋穿ちなし、銀鋲うてる長劔を肩に斜めに投げ掛けつ、 45父祖相傳のいかめしき王笏手にし、青銅の胸甲穿つアカイアの陣中さして出でて行く。
— ILIAS 『イーリアス』 青空文庫