悦楽
えつらく
名詞動詞-サ変動詞-自動詞
標準
joy
文例 · 用例
その時代には、一般世間の経済観念もきわめてルーズであり、貧しいものには貧しいなりの生活の余裕と悦楽があり、行き詰まってもどこかに抜け道があって、宵越しの金は腐ってでもいるように言われ、貧乏人の痩せ我慢が市井の美徳としてまだ残っていた。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
私は人の居ないところで、どこか内証に帽子を被り、鴎外博士の『青年』やハイデルベルヒを聯想しつつ、自分がその主人公である如く、空想裡の悦楽に耽りたいと考へた。
— 萩原朔太郎 『夏帽子』 青空文庫
一日に何千何万といふ人命を賭にして此本能に飽満の悦楽を与へるのが戦争であるとは、誰しも云ひ得まい。
— 夏目漱石 『点頭録』 青空文庫
あらゆる都会の文化も悦楽も青年の魂を慰めなかった。
— 岡本かの子 『高原の太陽』 青空文庫
智子の最初の片輪に対する同情は追い追い三木雄への尊敬と変り、三木雄の暗黒世界を開拓する苦労を智子は悦楽にさえ感じて来た。
— 岡本かの子 『明暗』 青空文庫
故に、凡て予が拠る所は僅かなれども生れて享け得たる自己の感覚と刺戟苦き神経の悦楽とにして、かの初めより情感の妙なる震慄を無みし只冷かなる思想の概念を求めて強ひて詩を作為するが如きを嫌忌す。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
* 私の哀しい Nostalgia がまた一絃の古琴にたまたま微かな月光の如くつかずはなれず付纏ふ時に、ある若い人達の集団はこれを唯一の楽器として、行住座臥、凡ての清新な情緒と凡ての苦い神経の悦楽とを委ねて満足してゐる。
— 北原白秋 『桐の花とカステラ』 青空文庫
血の悦楽にたましひのふかきうめきを忍ぶにか、かつ現身を悲哀の糧と食むにか、さげすむか。
— 北原白秋 『緑の種子』 青空文庫
作例 · 標準
美味しいケーキを口にした瞬間の、あの至福の悦楽!
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長年追い求めていた目標を達成し、彼は静かな悦楽に浸っていた。
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自然の中で深呼吸をするだけで、心が洗われるような悦楽を感じる。
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「ああ、この瞬間こそが人生の悦楽だ」と彼は呟いた。
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