鼻口
びこう
名詞名詞-の形容詞
標準
nose and mouth
文例 · 用例
獣のいのちの名残りにしてそれには淡く塩辛いのもあり、いくらか甘くて――」 といいかけたとき、女は急いで袖を自分の鼻口に当て手を差し出して止めた。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
……女の像の第一作が、まだ手足までは出来なかつたが、略顔の容が備はつて、胸から鳩尾へかけて膨りと成つた、木材に乳が双んで、目鼻口元の刻まれた、フトした時……『どうだ、大分ものに成つたらう、』と聊か得意で。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
おおかたは鼻口を固くふさいだものだ。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
が、偶に停留場で待ち合わして居る乗客の中に、一人位黒い布片で、鼻口を掩うて居る人を見出した。
— 菊池寛 『マスク』 青空文庫
ちょうど人の肖像をかこうとする画家が、その人の耳目鼻口をそれぞれ綿密に観察するように、君は山の一つの皺一つの襞にも君だけが理解すると思える意味を見いだそうと努めた。
— 有島武郎 『生まれいずる悩み』 青空文庫
ことに又、その中でも、お母様が押絵の人形の眼鼻口をお描きになる時にはきっと私を呼んで御自分の前に坐らせて、「右を向いて御覧」とか「左を向いて御覧」とか仰有って私の眼や、鼻や、口もとをシゲシゲと御覧になっては細長い筆の穂先を嘗めて、火鉢のふちに幾つも並べてある人形の顔に書き入れておいでになるのでした。
— 夢野久作 『押絵の奇蹟』 青空文庫
たとえば動物の手足鼻口等凡て一々動物生存の目的と密接なる関係があって、これを離れてその意義を解することはできぬ。
— 西田幾多郎 『善の研究』 青空文庫
その半面を文三が窃むが如く眺め遣れば、眼鼻口の美しさは常に異ッたこともないが、月の光を受けて些し蒼味を帯んだ瓜実顔にほつれ掛ッたいたずら髪、二筋三筋|扇頭の微風に戦いで頬の辺を往来するところは、慄然とするほど凄味が有る。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
標準
nostril