鼻腔
びこう異読 びくう
名詞頻度ランク #37849 · 青空 84 例
標準
nasal cavity
文例 · 用例
格別、先生の口唇が、鼻腔が可笑しいといふのぢやない、起立して、先生の後から歌ふ生徒等が可笑しいといふのでもない、それどころか、俺は大体、此の世に笑ふべきものがあらうとは思つちやゐなかつた。
— 中原中也 『夏と悲運』 青空文庫
舌や口蓋や鼻腔粘膜などよりももっと奥の方の咽喉の感覚で謂わば煙覚とでも名づくべきもののような気がする。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
)彼の名声は、そもそも嚏といふものは、自然の賢明なる配心であつて、実にも深刻なる多くの思想家はこれに依つて彼等の思想上の阿堵物を鼻腔から追放することが可能であるといふことを証明した権威の故に基くのである。
— 牧野信一 『嘆きの谷で拾つた懐疑の花びら』 青空文庫
鼻は所謂ざくろ鼻といふやつだが、たゞ赤いばかりでなく脂光にぬらついて吹出物が目立ち、口をあく毎に双つの小鼻が拳骨のやうに怒り鼻腔が正面を向いた。
— 牧野信一 『鬼涙村』 青空文庫
」 私の胸と肚はふいごのやうに伸縮して、熱気が口や鼻腔から激しく噴出した。
— 牧野信一 『泉岳寺附近』 青空文庫
お雪は重い腕を組んで上半身を前後左右にゆらゆらと動かせながら、鼻腔と喉だけで、百舌を連想させる鋭い高調子で、「ヒツヒツヒツ……キヤツ!
— 牧野信一 『沼辺より』 青空文庫
」といふやうな声は殆んど鼻腔の喉の奥で鳴るシヤツクリとクシヤミの中間にあたる促音で、何うしてもそれが笑ひの音であるとは感ぜられなかつた。
— 牧野信一 『沼辺より』 青空文庫
ところがZは魯鈍な眼を開くと、恰も、私が糧食をすゝめに現れた者ではなかつたか、と鬱陶しがつて、物憂気な鼻腔から見るも物々しい荒い溜息を吐き出すだけで、眼ばたき一つでさへ私の科白には従順の見得を示しもしなかつた。
— 牧野信一 『剥製』 青空文庫