機知
きち
名詞頻度ランク #42879 · 青空 97 例
標準
wit
文例 · 用例
新喜楽のまえの女将の生きていた時分に、この女将と彼女と、もう一人新橋のひさごあたりが一つ席に落合って、雑談でも始めると、この社会人の耳には典型的と思われる、機知と飛躍に富んだ会話が展開された。
— 岡本かの子 『老妓抄』 青空文庫
愚弄に報ゆるに愚弄をもってし、当てこすりに答えるに当てこすりをもってする事のできる場合には用はないが、無言な正義が饒舌な機知に富んだ不正に愚弄される場合の審判者としてこの二つの品が必要である。
— 寺田寅彦 『丸善と三越』 青空文庫
実際|土佐では弘法大師と兼山との二人がそれぞれあらゆる奇蹟と機知との専売人になっているのである。
— 寺田寅彦 『藤棚の陰から』 青空文庫
格式に拘泥しない自由な行き方の誹諧であるのか、機知|頓才を弄するのが滑稽であるのか、あるいは有心無心の無心がそうであるのか、なかなか容易には捕捉し難いように見える。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫
その時はお蔦の機知で、柔|能く強を制することを得たのだから、例なら、いや、女房は持つべきものだ、と差対いで祝杯を挙げかねないのが、冴えない顔をしながら、湯は込んでいたか、と聞いて、フイと出掛けた様子も、その縁談を聞いた耳を、水道の水で洗わんと欲する趣があった。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
そして、白分の機知の成功で実にたやすくみんなの喝采を博することができたろうに、そんな喝采のことなどはまるで考えてみもしなかった。
— WILLIAM WILSON 『ウィリアム・ウィルスン』 青空文庫
どちらも変化に富んでいて、機知に満ちたものであります。
— 平林初之輔 『愛読作家についての断片』 青空文庫
右門の貸してやったあの立て札の機知によって、案の定残りの卍組三人をめしとって、あばたの敬四郎がほくほくしながらお組屋敷を訪れると、精いっぱいの感謝を現わしながらいいました。
— 卍のいれずみ 『右門捕物帖』 青空文庫