事跡
じせき
名詞
標準
evidence
文例 · 用例
先づそこから出立して考へて見ることを敢てしないで、いきなり幸島の偽闕、平親王呼はり、といふところから不届至極のしれ者とされゝば、一言も無いには定まつて居るが、事跡からのみ論じて心理を問は無いのは、乾燥派史家の安全な遣り方であるにせよ、情無いことであつて、今日の裁判には少し潤ひがあつて宜い訳だ。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
心理から事跡を曲解するのは不都合であるが、事跡から心理を即断するのも不都合である。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
まして事跡から心理を即断して、そして事実を捏造し出すに至つては、愈上の談を受取らない。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
勿論俗界の仕事師ではなかったから、大した事跡は遺さなかった。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
むかし呂洞賓という仙人は、仙道成就しても天に昇ったきりにならずに、何時迄も此世に化現遊戯して塵界の男女貴賎を点化したということで、唐から宋へかけて処処方方に詩歌だの事跡だのを遺して居り、宋の人の間には其信仰が普遍で、既に蘇東坡の文にさえ用いられているし、今でも法を修して喚べば出て来ると思われている。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
事跡は屋代弘賢の『道成寺考』等にほとんど集め尽くしたから今また贅せず、ただ二つ三つ先輩のまだ気付かぬ事を述べんに、清姫という名余り古くもなき戯曲や道成寺の略物語等に、真砂庄司の女というも謡曲に始めて見え、古くは寡婦また若寡婦と記した。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
氏の著書かと思ひしに、さにあらで、氏はいたく石田三成に同情を表し、其事跡を世に明かにせむとて、渡邊世祐氏にたのみてこの書をつくらしめ、非賣品として、梓に上したる也。
— 大町桂月 『石田堤』 青空文庫
鴎外が抽斎や蘭軒等の事跡を考証したのはこれらの古書校勘家と一縷の相通ずる共通の趣味があったからだろう。
— 内田魯庵 『鴎外博士の追憶』 青空文庫