情火
じょうか
名詞
標準
passion (of love)
文例 · 用例
中の茶屋へ着くと、松虫草の紫は、見る影もなく褪せているが、鳥冑草は濃紫に咲いている、そして金屏風を背後にした菊花のように、この有毒植物の、刺戟強い濃紫は、焼砂の大壁を背景にして、荒廃の中に、一点の情火を、執念くも亡ぼさずにいる。
— 小島烏水 『雪中富士登山記』 青空文庫
時には自分で腑甲斐無いと思えば思うほど「ええ、何もかもおしまいだ、姫と駆落でもしてしまおう」こんな反動的な情火がむらむらと起るので、自分ながら危なくて仕様がありません。
— 岡本かの子 『鯉魚』 青空文庫
けれども未亡人の燃え立つような美しさと、その眼に籠めた情火に打たれて意気地なくうなだれた。
— 夢野久作 『あやかしの鼓』 青空文庫
何よりも苦しいことは、性慾ばかりが旺盛になって、明けても暮れても、セクスの観念以外に何物も考えられないほど、烈しい情火に反転|悶々することだった。
— 萩原朔太郎 『老年と人生』 青空文庫
即ち和歌の詩情は感傷的、感激的で、或るパッショネートな、情火の燃えあがっているものを感じさせる。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
私はそれとはおよそ反対の情火がそれ程まではげしく彼等の胸のうちに炎えてゐたかといふことは、さつき池のほとりで白ハチスの花束を持つて来た若者に会ふまで気づきもしなかつたのである。
— 牧野信一 『山峡の村にて』 青空文庫
御所では内宴とか、踏歌とか続いてはなやかなことばかりが行なわれていたが中宮は人生の悲哀ばかりを感じておいでになって、後世のための仏勤めに励んでおいでになると、頼もしい力もおのずから授けられつつある気もあそばされたし、源氏の情火から脱れえられたことにもお悦びがあった。
— 榊 『源氏物語』 青空文庫
今になってまた若々しい恋の手紙を人に送るようなことも似合わしくないことであると源氏は思いながらも、昔から好意も友情もその人に持たれながら、恋の成り立つまでにはならなかったのを思うと、もうあとへは退けない気になっていて、再び情火を胸に燃やしながら心をこめた手紙を続いて送っていた。
— 朝顔 『源氏物語』 青空文庫
作例 · 標準
二人の間には、静かに**情火**が燃え上がっていた。
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その詩は、読者の心に秘められた**情火**を掻き立てる。
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「やだ、急に**情火**が燃え上がっちゃったじゃない!」
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