襟懐
きんかい
名詞
標準
(one's) inner thoughts
文例 · 用例
これは境遇と性質とから来ているので、晩年にはおいおい練れて、広い襟懐を示すようになった。
— 有島武郎 『私の父と母』 青空文庫
吾れ人の家の夏は、青簾かけそめて初めて趣致を添え、涼意自ら襟懐を滌ぐばかり。
— 柴田流星 『残されたる江戸』 青空文庫
されどチエルシイの哲人はこの後進の鬼才を遇する事|反つて甚篤かりしかば、デ・クインシイも亦その襟懐に服して百年の心交を結びたりと云ふ。
— ―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文― 『骨董羹』 青空文庫
この応答に襟懐俗了せしを憾みたり。
— 饗庭篁村 『良夜』 青空文庫
掉尾の大功を惜しげもなく割愛して、後進に花を持たせた先輩の襟懐、己を空しうして官庁の威信を添えた国士の態度、床しくもまた慕わしき限りではないか。
— 穂積陳重 『法窓夜話』 青空文庫
父ももとよりそこは同じ襟懐だから、長い時間膝を交えて談し合った。
— 内藤鳴雪 『鳴雪自叙伝』 青空文庫
今ヤ一周年ノ忌辰ニ値ヒ、思旧感今ノ情ニ堪ル能ハズ、聊カ懇々ノ襟懐ヲ陳ズ。
— 成島柳北 『祭舌文』 青空文庫
彼敢て人を容るゝこと光風の如き襟懐あるにあらず。
— 芥川龍之介 『木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)』 青空文庫