僥倖
ぎょうこう
名詞
標準
(stroke of) luck
文例 · 用例
それが万一|僥倖に助かって孵化しても、親に似て性の悪い杜鵑の雛鳥に鋭い嘴で啄き出されてしまうという。
— 寺田寅彦 『話の種』 青空文庫
歯のいい人は、おそらく、この卑近な幸福を自覚する僥倖を持たないに相違ない。
— 寺田寅彦 『鑢屑』 青空文庫
そんな僥倖をたのみにした。
— 黒島傳治 『土鼠と落盤』 青空文庫
しかしこの成功が決して偶然の僥倖によるものではなくてちゃんとした科学的な基礎の上に立つものであるということを知る人が少ないようである。
— 寺田寅彦 『北氷洋の氷の割れる音』 青空文庫
うんと翻弄してやろう……もしも冗談から駒が出たら――何かまうもんか、その時はその時のことだ……という万一の僥倖をも、心の奥底では度外視してはいなかった。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
幸いにして東京に良家のあるありて、彼女のために適所を供さば、たんに心身の更生を僥倖しうるのみならず、その生得の才能を発揮するの機縁に遇いうるやも計るべからず。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
婚約するまえに八方手を尽さず、ただ向う見ずの覚悟で、僥倖を頼りに結婚するのは、一種の迷信であります。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
それをしなくても塹壕戦というものは、時に意外の方向に事業なり修業が展開して、予期した境地とは違ったところに成功することもありますが、まあ出来ることならそんな僥倖を望まず、正当に目指したものを得るのが当然ですから、目的への方向を間違えないよう、直観を働かせなければいけません。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫