遊子
ゆうし
名詞
標準
wanderer
文例 · 用例
名もない一遊子ではあるけれど、私も幼い時から、富士の影を浴びて、武蔵相模で育った一児童として、永い間の外国生活から、故国へ放還された一旅人として、親友と、子供と、忠実なる案内者とに囲まれて、今富士の膝下へ来て亡き母の顔に見えまつるが如く、しみじみと見ているのだ。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
猪牙船の製は既に詳しく知りがたく、小蒸気の煽りのみいたづらに烈しき今日、遊子の旧情やがては詩人の想像にも上らざるに至るべし。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫
長城万里に亘り荒蕪落日に乱るゝの所、悵たる征驂をとゞめて遊子天地に俯仰すれば、ために万巻の史書泣動し、満天の白雲|凝つて大地を圧するの思あり。
— 石川啄木 『閑天地』 青空文庫
晩冬の詩情晩冬の月に思ふ遊子は潔く酒盃を噛む。
— 北原白秋 『新頌』 青空文庫
氏の温情は東方の遊子の心を慰さむること夥し。
— 牧野信一 『サフランの花』 青空文庫
私はこれらの風景を所有する限りの美辞麗句を連ねて、母に語り、秋と遊子の姿を髣髴させたなら、母も玲瓏たる思ひの長けに陶然とするであらう――。
— 牧野信一 『風流旅行』 青空文庫
藤村詩碑は立派なものである、藤村自身書いた千曲川旅情の歌が金属板にしてある、その傍の松の木が枯れかけてゐるのは寂しかつた、……雲白く遊子かなしむ……旅情あらたに切なるを感じた。
— 種田山頭火 『旅日記』 青空文庫
そもそもこの旅券たるや、海外における唯一の身分証明であって、国籍による必要の保護も、金銭関係の保証も、その他すべて公式の場合には、一にこの緑色の小冊子が日本帝国としての口を利くんだから、天涯の遊子にとっては正に生命から二番目の貴重品である。
— 海のモザイク 『踊る地平線』 青空文庫
作例 · 標準
故郷を離れた遊子は、遠い異国の地で成功を収めた。
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彼は自らを遊子と称し、世界中を旅して回った。
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長い年月を経て、遊子は再び故郷の土を踏んだ。
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