渋茶
しぶちゃ
名詞
標準
strong or bitter (green) tea
文例 · 用例
ボーイの昼食をすゝむる声耳に入りたれどもとより起き上がる事さえ出来ざる吾の渋茶一杯すゝる気もなく黙って読み続くるも実はこのようなる静穏の海上に一杯の食さえ叶わぬと思われん事の口惜しければなり。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
私たちがおかみさんの運んで来た渋茶を飲んでいると、古障子を開けて呉絽の羽織を着た中老の男が出て来て声をかけた。
— 岡本かの子 『東海道五十三次』 青空文庫
渋茶、甘茶、渋糟、甘糟、渋皮、甘皮などの反対語の存在も、この対立関係を裏書する。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
からくみやこにたどりける、 芝雀は旅をものがたり、「その小屋掛けのうしろには、 寒げなる山によきによきと、立ちし」とばかり口つぐみ、 とみにわらひにまぎらして、渋茶をしげにのみしてふ、 そのことまことうべなれや。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 一百篇』 青空文庫
その上、もう気がたるみ、筋が弛んで、早や歩行くのに飽きが来て、喜ばねばならぬ人家が近づいたのも、たかがよくされて口の臭い婆さんに渋茶を振舞われるのが関の山と、里へ入るのも厭になったから、石の上へ膝を懸けた、ちょうど目の下にある滝じゃった、これがさ、後に聞くと女夫滝と言うそうで。
— 泉鏡花 『高野聖』 青空文庫
焼山について休んだ処で、渋茶を汲むのはさだめし皺くたの……然ういへば、来る道の阪一つ、流を近く、崖ぶちの捨石に、竹杖を、ひよろ/\と、猫背へ抽いて、齢、八十にも余んなむ、卒塔婆小町を正で見る婆さんが、ぼやり、うつむいて休んでゐた。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
しかしわが貧乏国日本の忠実な少壮学者は貧乏な大学の研究所のために電池のわずかな費用を節約しつつ、たくあんをかじり、渋茶に咽喉を潤してそうして日本学界の名誉のために、また人間の知恵のために骨折り働いているのである。
— 寺田寅彦 『小浅間』 青空文庫
媼は、誰とも、いかなる氏素性の少年とも弁えぬが、去年秋銃猟の途次、渋茶を呑みに立寄って以来、婆や、家は窮屈で為方がねえ、と言っては、夜昼|寛ぎに来るので、里の乳母のように心安くなった。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
作例 · 標準
食後に濃い渋茶を飲むと、口の中がさっぱりする。
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祖母はいつも、来客には濃いめの渋茶を出してくれた。
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風邪をひいた時には、熱い渋茶を飲むと体が温まる。
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