茶渋
ちゃしぶ
名詞
標準
文例 · 用例
」 暗い中から白い服装、麻の葉いろの巻つけ帯で、草履の音、ひた――ひた、と客を見て早や用意をしたか、蟋蟀の噛った塗盆に、朝顔茶碗の亀裂だらけ、茶渋で錆びたのを二つのせて、「あがりまし、」 と据えて出し、腰を屈めた嫗を見よ。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
そのうちに団十郎は赤松満祐のときに着ていた衣裳、おそらく直垂か何かであったろう、茶渋のような色の着物を持ち出して、なにか講釈をはじめたので、わたしは実に我慢が出来なくなって、むやみにカステラを頬張って、そこにいる男の注いでくれる茶をがぶがぶ飲んでいた。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
一面に茶渋を流した様な曠野が逼らぬ波を描いて続く間に、白金の筋が鮮かに割り込んでいるのは、日毎の様に浅瀬を馬で渡した河であろう。
— 夏目漱石 『幻影の盾』 青空文庫
皮膚など茶渋を刷いたようで、ところどころに苔のような斑点が見えるのは、時代がついているのでしょう。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
寒いほどの河風が吹きぬけて、茶渋で煮しめたような障子紙のやぶれをはためかせていた。
— 林不忘 『巷説享保図絵』 青空文庫