遠海
えんかい
名詞
標準
deep sea
文例 · 用例
遠海も、大河も、町の家並も、汽車も、凡て八月のこの曇つた一日を平和に送つてゐるらしく見えた。
— 木下杢太郎 『少年の死』 青空文庫
ああ、後の日も忘れずの肌のなまめき、目のうるみ‥‥いな、わが戀は遠海の白藻の香ひ、浪の搖れ、汐の八百路を漕ぎわくる櫂のきしめき。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
というのも、二人の女中まかせの庸三の台所は、ひどく不取締りで、過剰な野菜がうんと立ち流しの下に腐っていたり、結構つかえる器物がそこらへ棄てられたり、下品な皿|小鉢が、むやみに買いこまれたりして、遠海ものの煮肴はいつも砂糖|漬けのように悪甘く、漬けものも溝のように臭かった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
これを聞けば、雲に包まれた滝の響きか岩に砕くる遠海の音か竹林を払う雨風か、それともどこか遠き丘の上の松籟かとも思われる。
— 茶の本 『茶の本』 青空文庫
遠海を航して来た印象の深いのは、殊に裏日本の物に多いやうです。
— 折口信夫 『東北民謡の旅から』 青空文庫
鶯、鶯、わが姉よ、春に遇ひたる樹間より、しばしは荒き遠海の昔をしのびいでよかし。
— 蒲原有明 『獨絃哀歌』 青空文庫
幻影われただひとり佇みて聽けば寂しやささやきを、――そは白き日の洩すなる天のささやき、遠海に。
— 蒲原有明 『獨絃哀歌』 青空文庫
幽かなれどもあきらかに、しづかなれども燦めきて、輝く天のささやきの解きがたきかな、遠海に。
— 蒲原有明 『獨絃哀歌』 青空文庫
作例 · 標準
沿岸での漁獲量が減ったため、大型船を仕立てて一ヶ月以上の遠海漁業に出ることが増えた。
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「はあ、やっと陸が見えた。三週間も遠海をさまよっていたから、土の匂いが懐かしいよ」と船乗りが呟いた。
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遠海を回遊するマグロを追って、漁師たちは最新の魚群探知機を頼りに荒波を越えていく。
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