火宅
かたく
名詞頻度ランク #32783 · 青空 49 例
標準
this world of suffering
文例 · 用例
その時君は、貴重なる蒐集品を救いだすため、火宅へ取って返したまま、永久に不帰の人となったそうだ。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
家邸も何かせむ、皆得三に投与えて、かかる悪魔の火宅を遁れ、片田舎にて気散じに住みたまう気は無きか、連れて遁げんと勧めしかど、否、先祖より伝わりたる財産は、国とも城ともいうべきもの、いかに君と添いたいとて、人手には渡されず。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
来れる二個の眷属は三界無宿の非人にて、魔道に籍ある屠犬児、鳩槃荼、※舎闍を引従え、五尺に足らざる婦人ながら、殺気|勃々天を衝きて、右の悪鬼に襖を開けさせ、左の夜叉に燭を持たせ、栄華の空より墜落して、火宅の苦患を嘗めつつある綾子を犯す乞食お丹、自堕落の態引替えて悪魔の風采凜々たり。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
当時は私だけでなく、所謂純文芸の人たち全部、火宅の形相を呈していたらしい。
— 太宰治 『十五年間』 青空文庫
三界無安、猶如火宅、ただ念仏のみ超世の術じゃ。
— 岡本かの子 『取返し物語』 青空文庫
このなかに入る者は、現世を知らないから不幸で、火宅をのがれるから幸いである。
— 夏目漱石 『三四郎』 青空文庫
火宅 エミイル・ヴェルハアレン嗚呼、爛壊せる黄金の毒に中りし大都会、石は叫び烟舞ひのぼり、驕慢の円葢よ、塔よ、直立の石柱よ、虚空は震ひ、労役のたぎち沸くを、好むや、汝、この大畏怖を、叫喚を、あはれ旅人、悲みて夢うつら離りて行くか、濁世を、つゝむ火焔の帯の停車場。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫
火宅嗚呼、爛壞せる黄金の毒に中りし大都會、石は叫び烟舞ひのぼり、驕慢の圓葢よ、塔よ、直立の石柱よ、虚空は震ひ、勞役のたぎち沸くを、好むや、汝、この大畏怖を、叫喚を、あはれ旅人、悲みて夢うつら離りて行くか、濁世を、つゝむ火焔の帶の停車|場。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫
作例 · 標準
高僧は、「この火宅のような世の中だからこそ、心の平穏を保つことが肝要です」と説いた。
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彼は栄華を極めた生涯だったが、その心は常に満たされず、火宅の苦しみから逃れられなかった。
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「ああ、人間関係の悩みは尽きない。まさに火宅の世だ」と彼はため息をついた。
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