金字
きんじ異読 こんじ
名詞
標準
gold or gilt letters
文例 · 用例
例えばタレースは始めて金字塔の高さを測るために、塔の影の終点の辺へ小さな棒を一本立てた。
— 寺田寅彦 『アインシュタインの教育観』 青空文庫
またそれらのはなしが金字の厚い何|冊もの百科辞典にあるようなしっかりしたつかまえどこのあるものかそれとも風や波といっしょに次から次と移って消えて行くものかそれも私にはわかりません。
— 宮沢賢治 『サガレンと八月』 青空文庫
小山の峰通り立てる松の並木の遠見には馬の鬣のやうなるが現はれつ隠れつする、金字形したる山の嶺の、心あてに見しあたりならぬところに突として面出す、ことにおもしろし。
— 幸田露伴 『雲のいろ/\』 青空文庫
その時、花屋の奥で、凜として澄んで、うら悲しく、雲横秦嶺家何在雪擁藍関馬不前 と、韓湘が道術をもって牡丹花の中に金字で顕したという、一|聯の句を口吟む若山の声が聞えて止んだ。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
その紺地に、清く、さらさらと装上った、一行金字、一行銀書の経である。
— 泉鏡花 『七宝の柱』 青空文庫
階の下に立って、仰ぐと、典雅温優なる弁財天の金字に縁して、牡丹花の額がかかる。
— 泉鏡花 『七宝の柱』 青空文庫
」 この数分時の言の中に、小次郎法師は、生れて以来、聞いただけの、風と水と、鐘の音、楽、あらゆる人の声、虫の音、木の葉の囁きまで、稲妻のごとく胸の裡に繰返し、なおかつ覚えただけの経文を、颯と金字紺泥に瞳に描いて試みたが、それかと思うのは更に分らぬ。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
目ばかり光って、碧額の金字を仰いだと思うと、拍手のかわりに――片手は利かない――痩せた胸を三度打った。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫