買い気
かいき
名詞
標準
buying mood
文例 · 用例
小初は一しきり料理を喰べ終ると、いかにも東京の料理屋らしい洗煉された夏座敷をじろじろ見廻しながら、「あなた、道楽なさったの」と何の聯想からかいきなり貝原に訊いた。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
いろいろの時代のいろいろの火成岩や水成岩が実に細かいきれぎれになってつづれの錦を織り出している。
— 寺田寅彦 『カメラをさげて』 青空文庫
この女だってもう結婚するんですもの」 そして急に眼鏡を外して、そっと涙を拭いたかと思うと、何思ったのかいきなり、ぺろっと舌を出して、幸福そうに笑った。
— 織田作之助 『眼鏡』 青空文庫
手を突いてシャボン水お飲みよ」 健坊は思わず顔をそむけたが、やがて何思ったかいきなり湯舟の中へ飛び込んで、永いこと潜っていた。
— 織田作之助 『妖婦』 青空文庫
しかし、ある夜――戦争がはじまって三年目のある秋の夜、日頃自分から話しかけたことのない主人が何思ったのかいきなり、「あんた奥さん貰うんだったら、女子大出はよしなさいよ。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
「そんな、ホームズ先生、まさかいきなりわたくしを突き放したりなさいませんよね!
— THE ADVENTURE OF THE THREE STUDENTS 『三枚の学生』 青空文庫
あの、先生、ここなんですがね、理窟は私あ分ってます、お夏さんは、うまれつき団扇ッてものは人を煽ぐものだッてことはかいきし知っちゃあいないんです。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
……実は昨夜、或場所で、余りの暑さだから、何処かいき抜きに、そんなに遠くない処へ一晩どまりで、と姉の方から話が出たので、可かろう、翌日にも、と酒の勢で云ったものの、用もたたまっていますし、さあ、どうしようか、と受けた杯を淀まして、――四五日経ってからの方が都合は可いのだがと、煮切らない。
— 泉鏡花 『甲乙』 青空文庫