観想
かんそう
名詞動詞-サ変動詞-他動詞
標準
meditation
文例 · 用例
かの筆にも言語にも言ひ尽し難き情趣の限なき振動のうちに幽かなる心霊の欷歔をたづね、縹渺たる音楽の愉楽に憧がれて自己観想の悲哀に誇る、これわが象徴の本旨に非ずや。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
観想の冬飛びちらふ落葉もあらず、庭は早や、か広くなりぬ。
— 北原白秋 『海豹と雲』 青空文庫
そこから当然出発すべきではあるが、実相の観想そのものが正直でも鈍く、形は写しても神に徹せず、無為で平凡で無選択である場合、殊に真の音楽を知らず、真の愛なき霊ひを通じてのさうした作品は、詩と云ふ第一の見地から見て決して優秀なものとして遇する訳にはゆかない筈である。
— 北原白秋 『雀の卵』 青空文庫
┌ふと時をり木賊の蔭を真白き猫耳立ててをどり何の気はひなき(28)┤ └うつつなく木賊にうつる秋日の蝶驚きて立てど何の気はひなき それにうれしいのは、渋く寂びしくなりまさる私の観想の中に、再び忘れられてゐたあの「桐の花」の明るさが目に立つて還つて来たやうなけはひがする。
— 北原白秋 『雀の卵』 青空文庫
スイカダ、スイカダ、ランチ、ランチ つい、着いたばかりに発信したが、あの高麗丸から海岸の西瓜の山を瞥見してそれこそ子供のように小躍りした鮮新さや、青や白や鼠色ランチの馳せちがう、やや煙で黒っぽい油絵風の画趣からも、今はもう午前十時の観想は離れてしまった。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
どうだと、昨日も船の中で庄亮の方へ向くと、それは観想が深過ぎるという。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
尤も、その間に、詩集としては長歌の多くを収めた『観想の秋』、長歌の綜合集『篁』及び短歌の選集『花樫』或は現代短歌全集中の『北原白秋集』等の刊行があり、『白秋全集』の歌集第二にも新作の一部は編入されてあるが、何れも単行の新作集でなかつた。
— 北原白秋 『白南風』 青空文庫
惟うに、爾は観想によって救わるべくもないがゆえに、これよりのちは、一切の思念を棄て、ただただ身を働かすことによってみずからを救おうと心がけるがよい。
— 中島敦 『悟浄出世』 青空文庫