苦心惨憺
くしんさんたん
名詞動詞-サ変動詞-自動詞
標準
taking great pains
文例 · 用例
いずれも苦心惨憺の結果になる導きの教えを遺されております。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
ううむ、ううむ、と大袈裟に唸りながら、めちや苦茶に鎌を振りまはして、時々、あいたたたた、などと聞えよがしの悲鳴を挙げ、ただもう自分がこのやうに苦心惨憺してゐるといふところを兎に見てもらひたげの様子で、縦横無尽に荒れ狂ふ。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
だから大阪弁の「そうだ」は文字には書けず、私など苦心惨憺した結果「そうだ(す)」と書いて、「そうだす」と同じ意味だが、「す」を省略した言葉だというまわりくどい説明を含んだ書き方でごまかしているのである。
— 織田作之助 『大阪の可能性』 青空文庫
又は白粉の濃淡や頬紅の掛け引きなんぞでせめて正面から見た感じなりと誤魔化そうと、明け暮れどれ位苦心惨憺しておられるか知れませぬ。
— 夢野久作 『鼻の表現』 青空文庫
彼は拠んどころなく、参考書を購ふのだとか洋服をつくらなければならないからとか云ひ、本は好い加減の安物を積みあげたり、洋服はチラリと見せただけで曲げ込んだりして、苦心惨憺の揚句、漸く月々百円ほどは工面して、送つてゐた。
— 牧野信一 『茜蜻蛉』 青空文庫
といった風に散々に首をひねらせ、苦心惨憺させ、昏迷疲労させた。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
時間と空間のあらん限りを馳けめぐって、脳髄の正体を突止めて行ったポカンの苦心惨憺の蹤跡をモウ一度くり返して辿ってみるがいい。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
その犯罪の被害者らしい精神病者や自殺者が、地上到る処にウヨウヨしているに拘わらず、その犯行の手がかりとなるべき暗示材料、その他の証拠が見当らないために、本当の研究が発表出来ないという悲惨事に直面して、あらゆる苦心惨憺を続けている。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫