仙境
せんきょう
名詞
標準
fairyland
文例 · 用例
辻堂の天狗が(団九郎)、T「吾こそは 此の仙境に 棲む天狗なり」 そら出たと山賊達、腰を抜かす。
— 山中貞雄 『武蔵旅日記』 青空文庫
大湯で落合ひましやうよ、一|足さきへ……」 ……実は三|日余り、仙境霊地に心身共に澄切つて、澄切つた胸さきへ凡俗の気が見透くばかり。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
そうして七十歳にでもなったらアルプスの奥の武陵の山奥に何々会館、サロン何とかいったような陽気な仙境に桃源の春を探って不老の霊泉をくむことにしよう。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
桃太郎が鬼が島を征服するのがいけなければ、東海の仙境蓬莱の島を、鎚と鎌との旗じるしで征服してしまおうとする赤い桃太郎もやはりいけないであろう。
— 寺田寅彦 『さるかに合戦と桃太郎』 青空文庫
それですから、弁天島の端なり、その……淡島の峯から、こうこの巌山を視めますと、本で見ました、仙境、魔界といった工合で……どんなか、拍子で、この崖に袖の長い女でも居ようものなら、竜宮から買ものに顕われたかと思ったもので。
— 泉鏡花 『半島一奇抄』 青空文庫
復一は生れて地方の水産学校へ出る青年期までここに育ちながら、今更のように、「東京は山の手にこんな桃仙境があるのだった」と気がついた。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
」 譬えば仙境に異霊あって、恣に人の薬草を採る事を許さずというが如く聞えたので、これが少からず心に懸った。
— 泉鏡花 『薬草取』 青空文庫
酸漿は然ることなれど、丹波栗と聞けば、里遠く、山遙に、仙境の土産の如く幼心に思ひしが。
— 泉鏡花 『寸情風土記』 青空文庫