甲斐路
かいじ
名詞
標準
bright red table grape, a cross between a Flame Tokay and a Neo Muscat
文例 · 用例
これよりなお荒川に沿いて上り、雁坂峠を越えて甲斐の笛吹川の水上に出で、川と共に下りて甲斐に入り、甲斐路を帰らんと予ては心の底に思い居けるが、ここにて問い糺せば、甲斐の川浦という村まで八里八町人里もなく、草高くして路もたえだえなりとの事に望を失ない、引返さんと心をきわむ。
— 幸田露伴 『知々夫紀行』 青空文庫
三峰、武光、八日見山を首とし、秩父には尊の通り玉いし由のいい伝え処々に存れるが、玉川の水上即ち今の甲斐路にも同じようの伝説なきにあらず。
— 幸田露伴 『知々夫紀行』 青空文庫
しかしそれは同時に、故郷の人々と今生の袂別をする隠れた意味ももっていたので、篠原村では十日あまりも滞在し、有士のために両三回ほど講筵も敷いた……伊兵衛は甲斐路の途上と、篠原村に滞在しているあいだに、大弐の思想をかなり精しく聴くことができた。
— 山本周五郎 『夜明けの辻』 青空文庫
これほどにも情深く、心根のやさしい人があるかと思い、ヘルンに対して、何かいじらしく涙ぐましいものさえも感じたというのである。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
廉平は魔法づかいじゃ。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
しゃっぽの旦那は、金やろかいじゃあない……何だっけ……銭とるめんでしょう、その口から、お師匠さん、あれ、恥かしい。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫
そして荒い火薬の爆発する音にしても、一弾を放ってから、その撃ち損じを取り返す為めらしく、追い撃ちにするあと弾との距離の時間に、何となく、女が事を仕損じて、それを償い返す間の、とつおいつ思案する迷いの様子が何かいじらしいように感ぜられます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
在郷軍人じゃが、それがどうしたんかい」「どうしたんかいじゃねえ。
— 夢野久作 『オンチ』 青空文庫