胸裏
きょうり
名詞
標準
one's heart
文例 · 用例
實にこの一つの邪推は、彼に對する交際の第一日から、私の胸裏に根強く印象されたものであつた。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
夢の推移は顕在的には不可能であるが、心理分析によってこれを潜在意識の言葉に翻訳するとそれが必然的な推移であって、しかもその推移がその夢の作者の胸裏の秘密のある一面の「流行の姿」を物語ることになるのである。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫
人若し事を爲し、若くは思を運らす時に當つて、おのれが胸裏の消息に注意して見て、苟くも氣が散ると知つたならば修治せねばならぬ。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
潮や節や月の盈昃や、此等の點から觀察して、或潮の或時は何樣であるとか、或節の或場合は何樣であるとか、或月齡の時は何樣であるとか云ふことを、氣の張弛の上に就て説きたくは思ふが、胸裏の祕として予の懷いて居るものは有つても、敢て人前に提示するまでには内證が足らぬから言はぬ。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
小説戯曲によっては現実に遠い神秘的あるいは夢幻的なものもあるが、しかしこれが文学的作品として成立するためにはやはり読者の胸裏におのずから存在する一種の方則を無視しないものでなければならない。
— 寺田寅彦 『科学者と芸術家』 青空文庫
我胸裏には萬感|叢起せり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
勿論小室の上に就ては夢の如き思ひの考が手古奈の胸裏に往來したことは幾度あつたか知れないが、雷か何かの樣にこんなに不意な打ちつけな事があらうとは固より豫期せぬことであるから、少女心のすべなさには只わく/\してしまつて、思慮して分別ある詞などは一言も言へなかつた。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
しかもその併立せるものが一見反対の趣味で相容れぬと云う事実も認め得るかも知れぬ――批評家は反対の趣味も同時に胸裏に蓄える必要がある。
— 夏目漱石 『作物の批評』 青空文庫
作例 · 標準
彼の胸裏には、成功への強い意志と、わずかな不安が交錯していた。
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親友だからこそ、彼女は私の胸裏をすべて見透かしているようだった。
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その歌は、まるで私の胸裏に秘めた感情を代弁しているかのようだった。
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多くを語らない彼だが、その胸裏に去来する思いは想像に難くない。
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