手交
しゅこう
名詞動詞-サ変動詞-他動詞
標準
handing over
文例 · 用例
學校の廊下には、べたべた推薦のビラが張られて、選擧事務所なども、ものものしく、或るものは校門の下に立つて、登校の生徒ひとりひとりに名刺を手交し、よろしくたのみます、といつて低くお辭儀をして、或るものは、中學校の先輩といふ義理のしがらみに依つて、後輩を威嚇し、饗應、金錢、などといふばかな噂さへ立つた。
— 太宰治 『校長三代』 青空文庫
二時間のち、同じところで二十枚のばいきんだらけのくしゃくしゃ汚き紙片、できるだけむぞうさに手交して、宅のサラリイ前借りしたのよ、と小さく笑った萱野さんの、にっくき嘘、そんな端々にまで、私の燃ゆる瞳の火を消そうと警戒の伏線、私はそれを悲しく思った。
— ――(生れて、すみません。) 『二十世紀旗手』 青空文庫
○もりたや女将に六百円手交。
— 太宰治 『古典風』 青空文庫
宣告書は手交せられた。
— 太宰治 『古典風』 青空文庫
施薬をうけるものは、区役所、町村役場、警察の証明書をもって出頭すべし、施薬と見舞金十円はそれぞれ区役所、町村役場、警察の手を通じて手交するという煩雑な手続きを必要とした魂胆に就いては、しばらくおくとしても、あの仰々しい施薬広告はいったいなんとしたことか。
— 織田作之助 『勧善懲悪』 青空文庫
はいって来ると、名刺を一々運転手君にまでうやうやしく手交した。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
交渉の順序は、明早朝、出帆準備にとりかかる前に、チーフメーツに手交して、われわれは全部の要求が承諾されるまでは船室から出ない――ということに決定した。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
このとき、高野氏に手交したのが「無名作家の日記」である。
— 菊池寛 『世に出る前後』 青空文庫