幻辞.com

諧調

かいちょう
名詞
1
標準
harmonious melody
文例 · 用例
湯元迄行つた頃にはもう日が峯の彼方にかくれて、夕空の殘光に照らし出されて雜木林の色彩が實にこまやかに美しい諧調を見せて居た。
寺田寅彦 伊香保 青空文庫
平生は唯美しいとばかりで不注意に見過して居る秋の森の複雜な色の諧調は全く臆病な素人繪かきを途方にくれさせる。
寺田寅彦 寫生紀行 青空文庫
スウ・レ・トアド・パリの唄から“C'est pour mon papa”の唄へ――巴里の感情は最近これらのはやり唄の推移によってスイートソロから陽気な揶揄の諧調へ弾み上ったことが証拠立てられた。
岡本かの子 巴里の唄うたい 青空文庫
町辻でうめき酒場でうめきしているそのうめき声にひとりで節が乗ってとうとう人間のうめきの全幅の諧調を会得するようになったのだ。
岡本かの子 巴里の唄うたい 青空文庫
自分は不幸にして未来派の画やカンジンスキーのシンクロミーなどというものに対して理解を持ち兼ねるものであるが、ただ三色版などで見るこれらの絵について自分が多少でも面白味を感ずる色彩の諧調は津田君の図案帖に遺憾なく現われている。
寺田寅彦 津田青楓君の画と南画の芸術的価値 青空文庫
店で買物をしている人たちも、往来で立話をしている人たちも、皆が行儀よく、諧調のとれた低い静かな声で話をしていた。
散文詩風な小説 猫町 青空文庫
しかしその地方、――殊にトレドは、ドゥイノ及びヴェニスと共に、晩年のリルケの胸奧にもつとも深く鳴りひびいた三つの大きな諧調ともなつたのである。
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke トレドの風景 青空文庫
平生はただ美しいとばかりで不注意に見過ごしている秋の森の複雑な色の諧調は全く臆病な素人絵かきを途方にくれさせる。
寺田寅彦 写生紀行 青空文庫