階調
かいちょう
名詞
標準
gradation
文例 · 用例
見わたすと、その檸檬の色彩はガチヤガチヤした色の階調をひつそりと紡錘形の身體の中へ吸收してしまつて、カーンと冴えかへつてゐた。
— 梶井基次郎 『檸檬』 青空文庫
しかし直射光線には偏頗があり、一つの物象の色をその周囲の色との正しい階調から破ってしまうのである。
— 梶井基次郎 『冬の蠅』 青空文庫
見わたすと、その檸檬の色彩はガチャガチャした色の階調をひっそりと紡錘形の身体の中へ吸収してしまって、カーンと冴えかえっていた。
— 梶井基次郎 『檸檬』 青空文庫
しめやげる葬の曲のかなしみの幽かにもののなまめきに揺曳くなべに、沈みゆく雲の青みの階調、はた、さまざまのあこがれの吐息の薫、薄れつつうつらふきはの日のおびえ。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
然し又歌でなくても、外を歩く人の單純なカラ/\といふ音、雪道のギユン/\となる音、さういふものにも、よく聞いてみて複雜な階調のあるのを初めて知つたり、何處からか分らないボソ/\した話聲に不思議な音樂的なデリケートなニユウアンスを感じたりした。
— 小林多喜二 『一九二八年三月十五日』 青空文庫
夜中に眼が覚めて、雨声虫声の階調を傾聴した。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
征服の事実がその頂上に達した今日においては、階調はもはや美ではない。
— 大杉栄 『生の拡充』 青空文庫
そのような下積みの環境にある女性の、その暮しの流れをそれぞれの階調で描き出すところに、文学的一歩のよりどころは置かれた。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫