哀調
あいちょう
名詞
標準
plaintive strains
文例 · 用例
といふあの有名な小曲なども、皆彼が吹いた鳩笛の音から生れた哀調である。
— 萩原朔太郎 『田端に居た頃』 青空文庫
椰子の樹下のタクシーに英国人十数人が一人の女を胴あげにして一塊になると喚声の間に泣き叫ぶ女の哀調をのこして砂塵をたてて見えなくなってしまった。
— 吉行エイスケ 『孟買挿話』 青空文庫
私なぞも物心地が附いてからは、日がな一日、婆様の老松やら浅間やらの咽び泣くような哀調のなかにうっとりしているときがままございました程で、世間様から隠居芸者とはやされ、婆様御自身もそれをお耳にしては美しくお笑いになって居られたようでございました。
— 太宰治 『葉』 青空文庫
」 とささやき、その声が自分でも意外に思ったくらい、いたわるような、あやまるような、優しい、哀調に似たものを帯びていた。
— 太宰治 『グッド・バイ』 青空文庫
自分は彼が吹き出づる一高一低、絶えんとして絶えざる哀調を聴きながらも、つらつら彼の姿を看た。
— 国木田独歩 『女難』 青空文庫
それは晩春の頃からころころと啼き始めて、やがて湧き立つ様に野をこめる蛙の声が、どんなにめずらしくなつかしく、かやの稚い心をそそる夜も、秋祭りの野太鼓が、しきりに響いて渡る頃であっても、かすか乍らも澄み透って一縷の哀調を運ぶ横笛の音なのであった。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
甚三の哀調を帯びた横笛の音は、毎夜また、南の村落から聞えて来る様になった。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
国へ帰って百姓すると言った彼の貧弱な体やおど/\した態度を憐み、お君はひとけの無くなった家の中の空虚さに暫くはぽかんと坐った切りであったが、やがて、船に積んだらどこまで行きやる、木津や難波の橋の下、と哀調を帯びた子守唄を高らかに豹一にきかせた。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
作例 · 標準
例句