悲調
ひちょう
名詞
標準
sad sound
文例 · 用例
微笑としての「いき」は、快活な長音階よりはむしろやや悲調を帯びた短音階を択ぶのが普通である。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
今や人情の幽音悲調に耳を傾けたり。
— 国木田独歩 『小春』 青空文庫
自分はほとんどその哀音悲調を聴くに堪えなかった。
— 国木田独歩 『女難』 青空文庫
妻が、やかましい権女であればあるほど、その眼を忍んで、含みのある青い色のうすものに、絹麻の名古屋帯を結んだスラリと伸びた、しかし、どことなく頼りなげな新子と、二尺と離れず歩いていることが……準之助氏にとって、何か恐ろしい何かすばらしい冒険のような気がして悲調を帯びた彼の恋心を深めるのであった。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
」愚痴まじりに、母の声が悲調を帯びて来た。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
いかにも哀音悲調と謂つた風の、うるほひのある澄み徹つた聲であるのだ。
— 若山牧水 『鳳來寺紀行』 青空文庫
しかしながら死せんとするも死し得ざる彼、墳墓を尋ね獲んとするも獲ざる彼は、二十節以下において依然たる悲調を以て神に迫るのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
岸辺に咽ぶ波、波にまろぶ岸辺の砂礫、其砂礫の打合ふ音、崩れては起き上る波と波との奏する楽の音、海上で耳にするこれ等の響はやがて人生の寂しい悲調に過ぎない。
— 吉江喬松 『海潮の響』 青空文庫
作例 · 標準
彼の歌声は、会場全体に悲調を響かせ、聴衆を魅了した。
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その曲は、美しいがどこか悲調を帯びていた。
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映画のラストシーンで流れる音楽は、深い悲調を表現していた。
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