殷盛
いんせい
形容動詞名詞
標準
prosperity
文例 · 用例
この辺は、いまから七、八百年も前からひらけて、津軽の豪族、安東氏の本拠であつたといふ説もあり、また江戸時代には、その北方の小泊港と共に、津軽の木材、米穀を積出し、殷盛を極めたとかいふ話であるが、いまはその一片の面影も無いやうである。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
すなわち我々の馬車の両側には、英国の特有の田園が展開し、方々に散在している田舎家は、今日の殷盛な人口を思わせ、またあっちにもこっちにも、大きな四角な塔の教会が、平原の地平線の上に屹立し、緑の濃い風景、――と、昔の東部アングリアの、光栄と殷盛を想わしめるものであった。
— コナン・ドイル 『暗号舞踏人の謎』 青空文庫
明治の初年にわたくしは桜木天神の神楽殿に並んだ裏二階に下宿してゐたが、当時の薬師の縁日は猶頗殷盛であつた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
この村は平野をへだてた東羽黒と対立し、伽藍堂塔三十五堂立ち並んだ西羽黒のむかしの跡だが、当時の殷盛をうかべた地表のさまは、背後の山の姿や、山裾の流れの落ち消えた田の中に、点点と島のように泛き残っている丘陵の高まりで窺われる。
— ――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 『夜の靴』 青空文庫
すべて一度前に、極度に繁栄した土地には、どことなく人の足で踏み馴らされた脂肪のやうな、なごやかな色が漂つてゐるものだが、私の見た土では、神奈川の金沢とか、鎌倉とかには、衰へ切つてしまつてゐるとはいへ、幕府のあつた殷盛な表情が、石垣や樹の切株や、道路の平担な自然さに今も明瞭に現はれてゐる。
— 横光利一 『琵琶湖』 青空文庫
されば維新時代一漁村に過ぎなかつた寒村が、今や豪富軒を列ぶる殷盛を極めてゐる。
— 河東碧梧桐 『南予枇杷行』 青空文庫
元禄時代は内外ともに平穏無事な時代、即ち幕府の基礎は確立し、鎖国によつて対外関係は小康を保ち、江戸の殷盛は経済的にも一種の好景気を齎した時代であつた。
— 岸田國士 『演劇と政治』 青空文庫
しかして此の如く世界を股にかけて事業を營むことになると、矢張り世界の中心と目せらるゝ都市に居らなければ、殷盛を期し難く、彼は四十歳にして居をパリに移し、更に研究所をも新設し、爆藥研究に腐心した。
— 長岡半太郎 『ノーベル小傳とノーベル賞』 青空文庫
作例 · 標準
彼らの賢明な統治の下、王国は殷盛の時代を迎え、豊作と交易の繁栄をもたらした。
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その家業は、海外市場に進出して以来、殷盛な成長を遂げた。
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それは都市にとって、偉大な文化的・経済的な殷盛の時期だった。
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