紅帽
こうぼう
名詞
標準
red hat
文例 · 用例
特に國府津止の箱が三四|輛連結してあるので紅帽の注意を幸にそれに乘り込むと果して同乘者は老人夫婦きりで頗る空て居た、待ち疲れたのと、熱の出たのとで少なからず弱て居る身體をドツかと投げ下すと眼がグラついて思はずのめりさうにした。
— 国木田独歩 『湯ヶ原ゆき』 青空文庫
不好な處へいや/\ながら出かけて行くのかと怪まるゝばかり不承無承にプラツトホームを出て、紅帽に案内されて兔も角も茶屋に入つた。
— 国木田独歩 『湯ヶ原ゆき』 青空文庫
ひとしきり、沈黙やぶれて、煤けたる江戸絵の壁に禁軍の紅帽あかり、はちはちと火の粉飛びちり、しづまりぬ。
— 北原白秋 『第二邪宗門』 青空文庫
それは紅帽子を冠つて、新らしい乳の泡で唇を白くしてゐる精霊が、己の耳に囁いてくれたのだ。
— THE HEART OF THE SPRING 『春の心臓』 青空文庫
怒ったのは、卓の主人役をしていた紅帽青襟の少年郎だった。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
お遊さんという人は、写真を見ますとゆたかな頬をしておりまして、童顔という方の円いかおだちでござりますが、父にいわせますと目鼻だちだけならこのくらいの美人は少くないけれども、おゆうさまの顔には何かこうぼうっと煙っているようなものがある、のなかに立ち迷っているのでござります。
— 谷崎潤一郎 『蘆刈』 青空文庫