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惑い

まどい
名詞
1
標準
delusion
文例 · 用例
現代の人間が四十歳くらいで得た人生観や信条をどこまでも十年一日のごとく固守して安心しているのが宜いか悪いか、それとも死ぬまでも惑い悶えて衰頽した躯を荒野に曝すのが偉大であるか愚であるか、それは別問題として、私は「四十にして不惑」という言葉の裏に四十は惑い易い年齢であるという隠れた意味を認めたい。
寺田寅彦 厄年と etc. 青空文庫
誰かこの影の薄くなった言葉を活かして「四十の惑い」を解いてくれる人はないだろうか。
寺田寅彦 厄年と etc. 青空文庫
尤もその日は特に蒸暑かったのに、ああいう、設計者が通風を忘れてこしらえた美術館であるためにそれが更に一層蒸暑く、その暑いための不愉快さが戸惑いをして壁面の絵の方に打つかって行ったせいもあるであろう。
寺田寅彦 烏瓜の花と蛾 青空文庫
凡て女の惑いからいろんな混雑や悲嘆が出て来るものです。
国木田独歩 恋を恋する人 青空文庫
総ての事が里子には怪しき謎で、彼はたゞ惑いに惑うばかり、遂には母と同じく怨霊を信ずるようになり、今も横浜の宅で母と共に不動明王に祈念を凝して居るのです。
国木田独歩 運命論者 青空文庫
われ二郎に向かいて、御身は宝丹持ちたもうならずやと問えば、二郎、打ち惑いたるさまにてわずかに、しかりと答う。
国木田独歩 おとずれ 青空文庫
たとえば水晶で作られたようなプランクトンがスクリーンいっぱいに活動しているのを見る時には、われわれの月並みの宇宙観は急に戸惑いをし始め、独断的な身勝手イデオロギーの土台石がぐらつき始めるような気がするであろう。
寺田寅彦 映画の世界像 青空文庫
そしてそうすることが隠れている災難を眼の前に見せる結果になりはしないかと恐れ惑いながらも、小さな声で、「お母さん」 と呼んでみないではいられなかった。
有島武郎 星座 青空文庫