憤懣
ふんまん
名詞
標準
(pent-up) anger
文例 · 用例
例えば美術や音楽の方面においていわゆる官学派の民間派に対する圧迫といったようなことについて、具体的の実例をあげていわゆる官僚的元老の横暴を語るのであったが、それがただ冷静な客観的の噂話でなくて、かなり興奮した主観的な憤懣を流出させるのであった。
— 寺田寅彦 『子規の追憶』 青空文庫
そうだったらこの憤懣は〔欠〕――彼女達の一家はこの半月程前に、すみなれた大阪から、空風と霜どけの東京の高台の町へ引越して来たばかりだった。
— 梶井基次郎 『不幸』 青空文庫
」と憤懣の色をうかべて彼女がこたえた。
— 吉行エイスケ 『女百貨店』 青空文庫
しかしその憤懣が「小母さん」のどこへ向けられるべきだろう。
— 梶井基次郎 『ある崖上の感情』 青空文庫
その猫は平常吉田の寝床へ這入って寝るという習慣があるので吉田がこんなになってからは喧ましく言って病室へは入れない工夫をしていたのであるが、その猫がどこから這入って来たのかふいにニャアといういつもの鳴声とともに部屋へ這入って来たときには吉田は一時に不安と憤懣の念に襲われざるを得なかった。
— 梶井基次郎 『のんきな患者』 青空文庫
吉田はまた猫のことには「こんなことがあるかもしれないと思ってあんなにも神経質に言ってあるのに」と思って自分が神経質になることによって払った苦痛の犠牲が手応えもなくすっぽかされてしまったことに憤懣を感じないではいられなかった。
— 梶井基次郎 『のんきな患者』 青空文庫
自分の見る点では、内匠頭はいよいよ最後の瞬間まではもっとずっと焦躁と憤懣とを抑制してもらいたい。
— 寺田寅彦 『映画雑感(3)』 青空文庫
この老人のやるせなき不平と堪え難き憤懣を傍観していた自分は、妙に少し感傷的な気分になって来た。
— 寺田寅彦 『三斜晶系』 青空文庫
作例 · 標準
何年も不当な扱いを受けてきた従業員たちの間に、会社に対する憤懣が少しずつ蓄積していった。
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誤解から生じた悪評を払拭できず、彼は誰にもぶつけることのできない憤懣を抱えて酒に溺れた。
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市長の一方的な計画変更の発表に対し、集まった住民たちから憤懣やる方ないといった声が上がった。
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