哀情
あいじょう
名詞
標準
sorrow
文例 · 用例
『そこで僕は今夜のような晩に独り夜ふけて燈に向かっているとこの生の孤立を感じて堪え難いほどの哀情を催して来る。
— 国木田独歩 『忘れえぬ人々』 青空文庫
そして其夜、淡い霞のやうに僕の心を包んだ一片の哀情は年と共に濃くなつて、今はたゞ其時の僕の心持を思ひ起してさへ堪え難い、深い、靜かな、やる瀬のない悲哀を覺えるのである。
— 國木田獨歩 『少年の悲哀』 青空文庫
暫時無言で二人は歩いていたが、大友は斯く感じると、言い難き哀情が胸を衝いて来る。
— 国木田独歩 『恋を恋する人』 青空文庫
そしてその夜、うすいかすみのように僕の心を包んだ一片の哀情は、年とともに濃くなって、今はただその時の僕の心持ちを思い起こしてさえ堪えがたい、深い、静かな、やる瀬のない悲哀を覚えるのである。
— 国木田独歩 『少年の悲哀』 青空文庫
されどかれも年若き男なり、時にはわが語る言葉の端々に喚びさまされて旧歓の哀情に堪えやらず、貴嬢がこの姿をかき消すこともあれど、要するに哀れの少女よとかこつ言葉は地震の夜の二郎にはあらず、燃ゆる恋はいつしか静かなる憐みと変われり。
— 国木田独歩 『おとずれ』 青空文庫
何心なくながめてありしわれは幾百年の昔を眼前に見る心地して一種の哀情を惹きぬ。
— 国木田独歩 『小春』 青空文庫
山の上に山が重なり、秋の日の水のごとく澄んだ空気に映じて紫色に染まり、その天末に糸を引くがごとき連峰の夢よりも淡きを見て自分は一種の哀情を催し、これら相重なる山々の谷間に住む生民を懐わざるを得なかった。
— 国木田独歩 『小春』 青空文庫
』と自分は何心なく答えて、そしてわれ知らず、未だかつて経験した事のない哀情が胸を衝いて起こった。
— 国木田独歩 『小春』 青空文庫
作例 · 標準
彼の奏でるチェロの旋律は、聴く者の心の奥底に眠る哀情を静かに揺さぶった。
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廃村となった故郷を再訪した老人は、変わり果てた景色を前に深い哀情に沈んでいた。
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戦火を逃れて彷徨う人々の姿を捉えた報道写真は、見る者に強烈な哀情を訴えかける。
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夕暮れ時の寂れた港町を歩いていると、時の移ろいに対する何とも言えない哀情を禁じ得ない。
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