悠揚
ゆうよう
形容詞-たる副詞-と
標準
self-possessed
文例 · 用例
三合四合と登るほどに、黒砂は凝結したように、ポロポロと硬くなって、時に生れどころの解らない大霧が、斜面を這って、煙のように舞い立つこともあったが、五合へ来たときには、それも拭うように晴れて、北風が起り初めた、鳶が一羽、虚空に丸く輪を描いて山体の半分を悠揚と匝ぐって、黒い点となって、遥かに消え失せた。
— 小島烏水 『雪中富士登山記』 青空文庫
悠揚としてこれに準じて流れるのだ。
— 宮沢賢治 『疑獄元兇』 青空文庫
眼を挙げて日本橋を見ると晴れた初夏の中空に浮いて悠揚と弓なりに架かり、擬宝珠と擬宝珠との欄干の上に忙しく往来する人馬の姿はどれ一つとして生活に自信を持ち、確とした目的に向って勇ましく闘いつつある姿でないものは無い。
— 岡本かの子 『とと屋禅譚』 青空文庫
――袖がしなって、両つに分れた両方の袂の間が、爪さき深く、谷に見えるまで、簪の薄の穂のひらひらと散って落つる処を、引しめたままの扇子で、さそくに掬ったのが、かえって悠揚たる状で、一度上へはずまして、突羽子のようについて、飜る処を袂の端で整然と受けた。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
……言は些となまぬるいやうだけれど、そこが悠揚として迫らざる處である。
— 泉鏡太郎 『間引菜』 青空文庫
やっと覆いを取ると、眼を開いたまま寝ていた小石の上の金魚中での名品キャリコは電燈の光に、眼を開いたまま眼を醒して、一ところに固っていた二ひきが悠揚と連れになったり、離れたりして遊弋し出す。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
復一がいつまでもそのまま肩で息を吐き、眼を瞑っている前の水面に、今復一によって見出された新星のような美魚は多くのはした金魚を随えながら、悠揚と胸を張り、その豊麗な豪華な尾鰭を陽の光に輝かせながら撩乱として遊弋している。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
悠揚と引かれた眉に左の上鬢から掻き出した洋髪の波の先が掛り、いかにも適確で聡明に娘を見せている。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
作例 · 標準
長年の夢だった、子供たちが巣立った後の悠々自適の生活が現実になった。
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