洋々
ようよう
形容詞-たる副詞-と
標準
broad
文例 · 用例
左脇の家に人|数多集い、念仏の声洋々たるは何の弔いか。
— 寺田寅彦 『半日ある記』 青空文庫
あなたの前途は、実に洋々たるものですね。
— 太宰治 『渡り鳥』 青空文庫
やれ自然がどうだの、石狩川は洋々とした流れだの、見渡すかぎり森又た森だの、堪ったもんじゃアない!
— 国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯』 青空文庫
きやりと閃く青白い恐怖が彼の頭の中にあらゆるものを一|嘗めに浚って行ったあとは、超自然のような勢力が天地を縦横無尽に駆け廻る、その勢力に同化してしまって洋々蕩々たる気持になってしまうのだ。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
大生命の洋々蕩々たる、而もその中に滑転の自在をきわむる巧妙さ、われらが胸計の及ぶ所ではない。
— 岡本かの子 『阿難と呪術師の娘』 青空文庫
元来|伏木直江津間の航路の三分の一は、遙に能登半島の庇護によりて、辛くも内海を形成れども、泊以東は全く洋々たる外海にて、快晴の日は、佐渡島の糢糊たるを見るのみなれば、四面※茫として、荒波山の崩るるごとく、心易かる航行は一年中半日も有難きなり。
— 泉鏡花 『取舵』 青空文庫
……その玄關が六疊の、右へ※り縁の庭に、物數寄を見せて六疊と十疊、次が八疊、續いて八疊が川へ張出しの欄干下を、茶船は浩々と漕ぎ、傳馬船は洋々として浮ぶ。
— 泉鏡太郎 『深川淺景』 青空文庫
即ち文芸復興期以来に於ける、理智偏重の啓蒙思潮が、近代初頭に於て反動され、人心の中に深く圧迫された感情が、一時に洋々として堤を切った為、此処に十九世紀浪漫主義の運動となり、古典韻文の生ぬるい叙事詩等が、非主観的として排斥され、非感情的として疎外されてしまったのである。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫