哀感
あいかん
名詞
標準
pathos
文例 · 用例
短歌が、ただ擦過するだけの謂はば哀感しか持たないのは、それを作す人にハーモニーがないからだ。
— 中原中也 『河上に呈する詩論』 青空文庫
初めはちっといやみを感じたフランス風の会話にともなう肩の上げ下し手の開き具合いも我が子なればこそあきれた心嬉しさの哀感に変って行く。
— 岡本かの子 『オペラの辻』 青空文庫
△途上、鮮人の一家族に心を惹かれた、世帯道具を背負うて移動する道中らしい、蒲団、飯釜、行李、子供、そして弱者劣敗者である彼等は私にまで挨拶した、私は彼等に対して好感よりも哀感を持つた。
— 山口 『行乞記』 青空文庫
だが復一は遠くからでも近頃の真佐子のけはいを感じて、今は自分に托した金魚の事さえ真佐子は忘れているかも知れない、真佐子はますます非現実的な美女に気化して行くようで儚ない哀感が沁々と湧くのであった。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
ユーモラスな哀感をかんじながら私がそれを読んでゐますと、傍からそれをもらつた女性が『じようだんではありませんわ、私にそんなひまがありますか。
— 岡本かの子 『或る男の恋文書式』 青空文庫
かうして宗教を遊楽に結びつけ、遊楽のなかに微かに一味の哀感を繋いでゐる。
— 北原白秋 『水郷柳河』 青空文庫
成人ばかりの間にたつた一人の子供では、可愛がられるのが當り前のやうだが、此の場合は、それに多分の原始宗教的な畏怖と哀感とが加はつてゐるのである。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
成人ばかりの間にたった一人の子供では、可愛がられるのが当り前のようだが、この場合は、それに多分の原始宗教的な畏怖と哀感とが加わっているのである。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
作例 · 標準
その小説の終章には、読者の胸を締め付けるような深い哀感が漂っていた。
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戦争で荒廃した村の絵画は、鑑賞者に静かな哀感を呼び起こした。
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難民危機のニュース報道は、人々に強い哀感を抱かせた。
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その哀愁漂う旋律は、繊細な哀感を帯びて観客の心に響いた。
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