哀歓
あいかん
名詞
標準
joys and sorrows
文例 · 用例
哀歓とどめがたし、ただ常住のいのちに縋る。
— 北原白秋 『真珠抄』 青空文庫
哀歓かたみの輪廻は猶も堪へめ、泥土に似る身ぞ。
— 石川啄木 『詩』 青空文庫
親子三人連れのお遍路さんも面白い人だつた、みんな集つて雑談の花が咲いたとき、これでどなたもブツの道ですなあといつた、ブツは仏に通じ、打つに通じる、打つは勿論、飲む買ふ打つの打つである、またいつた、虱と米の飯とを恐れては世間師は出来ませんよと、虱に食はれ、米の飯を食ふところに世間師の悲喜哀歓がある。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
博雅の君子亦「鏡花全集」を得て後、先生が日光晶徹の文、哀歓双双人生を照らして、春水欄前に虚碧を漾はせ、春水雲外に乱青を畳める未曾有の壮観を恣にす可し。
— 芥川龍之介 『「鏡花全集」目録開口』 青空文庫
しかし悲喜哀歓は実にこの手の裏表も同じこと、歓喜の後には必ず悲しみが控えているが世の中の習わし。
— 矢崎嵯峨の舎 『初恋』 青空文庫
銃後の国民の大多数は、砲煙の下に身命をさらす同胞の偉大な業績に感激しつゝ、なほかつ、凡庸な市民の日常生活を、その哀歓と共に営まねばならぬとは、なんといふ宿命であらう。
— 岸田國士 『事変記念日』 青空文庫
それは定まれる節や拍子もなく、各々哀歓悲喜の音曲をなし、珍しくもまた人の心をうつものが多かったから、聴衆も多く集まり、それを聞いて発心する人も少くはなかったうちに、御所の留守の女房連が、それにききほれて、遂に断りなく出家をしてしまった。
— 中里介山 『法然行伝』 青空文庫
全く私たちもしくはそれ以前の年齢の人たちにとつては、常に宵々の蝙蝠の群と共に、青春の哀歓をことごとく経験して来たのだつた。
— 正岡容 『旧東京と蝙蝠』 青空文庫
作例 · 標準
この長編小説は、激動の時代を生きた一族の哀歓を余すところなく描き出している。
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長年連れ添った夫婦の顔には、共に乗り越えてきた人生の哀歓が深く刻み込まれていた。
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彼は退職の挨拶で、三十年間のサラリーマン生活の哀歓を淡々と語った。
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一枚の古い白黒写真が、故郷で過ごした日々のかけがえのない哀歓を呼び覚ます。
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