墨色
すみいろ
名詞
標準
ink black
文例 · 用例
私の習慣として、手紙は読んで了へば、大概棄てるし、殊に訃報は直ちに破くのであるが、此度も私は読み終るや破かうとしたが、ハツと思つて思ひとゞまり、薄墨色のインクで印刷された端書をもう一度マジ/\と見直した。
— 中原中也 『逝ける辻野君』 青空文庫
うらやましくて、私のこしらへたのはしかし、さすがに墨色では粋すぎるので薄紫で菱形を大きく出して見ました。
— 岡本かの子 『縮緬のこころ』 青空文庫
雨上りの夜の天地は濃い墨色の中にたっぷり水気を溶して、艶っぽい涼味が潤沢だった。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
道にさし出た、松の梢には、紫の藤かゝつて、どんよりした遠山のみどりを分けた遅桜は、薄墨色に濃く咲いて、然も散敷いた花弁は、散かさなつて根をこんもりと包むで、薄紅い。
— 泉鏡太郎 『続銀鼎』 青空文庫
オリジナルは児童用の粗末な藁紙ノートブックに当時|丸善で売っていた舶来の青黒インキで書いたものだそうであるが、それが変色してセピアがかった墨色になっている。
— 寺田寅彦 『小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」』 青空文庫
薄墨色の河岸を伝って、雲より黒い線路に響いた。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
ハタと止めば、其の空の破れた處へ、むら/\と又一重冷い雲が累りかゝつて、薄墨色に縫合はせる、と風さへ、そよとのもの音も、蜜蝋を以て固く封じた如く、乾坤寂と成る。
— 泉鏡太郎 『霰ふる』 青空文庫
橋杭ももう痩せて――潮入りの小川の、なだらかにのんびりと薄墨色して、瀬は愚か、流れるほどは揺れもしないのに、水に映る影は弱って、倒に宿る蘆の葉とともに蹌踉する。
— 泉鏡花 『海の使者』 青空文庫
作例 · 標準
夕暮れ時の空が、徐々に深い墨色へと変わっていった。
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祖父の形見である墨色の着物を、大切に保管している。
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墨色で統一されたインテリアが、落ち着いた雰囲気を醸し出している。
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ウィキペディア
墨色(すみいろ、ぼくしょく)とは灰色がかった黒のこと。墨染めとも。
出典: 墨色 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0