近景
きんけい
名詞
標準
foreground
文例 · 用例
森のはずれから近景へかけて石ころの多い小径がうねって出る処を橙色の服を着た豆大の人が長い棒を杖にし、前に五、六頭の牛羊を追うてトボトボ出て来る。
— 寺田寅彦 『森の絵』 青空文庫
近景には低い灌木がところどころ茂って中には箒のような枝に枯葉が僅かにくっ付いているのもある。
— 寺田寅彦 『森の絵』 青空文庫
右の方のバックには構内の倉庫の屋根が黒く聳えて、近景に積んだ米俵には西日が黄金のやうに輝いて居り、左の方の澄み通つた秋空に赤や紫や色々の煙が渦卷き昇つて居るのが餘りに美しかつたから、いきなり繪具箱を柵の上に置いてWCの壁にもたせかけ大急ぎのスケッチをしようとした。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
一人は近景に黍の行列を入れ一人は溝に架つた板橋を使つて居た。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
右のほうのバックには構内の倉庫の屋根が黒くそびえて、近景に積んだ米俵には西日が黄金のように輝いており、左のほうの澄み通った秋空に赤や紫やいろいろの煙が渦巻きのぼっているのがあまりに美しかったから、いきなり絵の具箱を柵の上に置いてWCの壁にもたせかけ大急ぎのスケッチをしようとした。
— 寺田寅彦 『写生紀行』 青空文庫
一人は近景に黍の行列を入れ一人は溝にかかった板橋を使っていた。
— 寺田寅彦 『写生紀行』 青空文庫
近景の秋の山々が両袖からせまって、その奥に湖水、そうして、蒼空に富士の秀峰、この風景の切りかたには、何か仕様のない恥かしさがありはしないか。
— 太宰治 『富士に就いて』 青空文庫
日本八景の一と定められた華嚴の瀑布及びその附近景勝遊覽のためであつた。
— 幸田露伴 『華嚴瀧』 青空文庫