仁恵
じんけい
名詞
標準
graciousness
文例 · 用例
主命を辱しむること、見よ、かくのごとし、既に仁恵といういずくんぞ越人と秦人とを分たん、されどもこれを則と謂わば、また論ずるに足らざるなり。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
昨冬箱館表俄之引揚に付、格別之以御仁恵総人数へらせいた洋服一枚づつ、天朝より恩賜被仰付。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
しかのみならず、この法外の輩が、たがいにその貧困を救助して仁恵を施し、その盗みたる銭物を分つに公平の義を主とし、その先輩の巨魁に仕えて礼をつくし、窃盗を働くに智術をきわめ、会同・離散の時刻に約を違えざる等、その局処についてこれをみれば、仁義礼智信を守りて一社会の幸福を重んずる者の如し。
— 福沢諭吉 『教育の目的』 青空文庫
世の学者、経済の公論に酔いて仁恵の私徳を忘るるなかれ。
— 福沢諭吉 『学問のすすめ』 青空文庫
遠山殿の仰せには町方の事とは少々|御役向が違う故、あの方の御一存では慥とした事は申されぬが、何につけお上においては御仁恵が第一。
— 永井荷風 『散柳窓夕栄』 青空文庫
勇気、仁恵、礼譲、真誠、忠義、克己、これすべてこの執着の現象である。
— 和辻哲郎 『霊的本能主義』 青空文庫
五の四「この人足寄場は牢舎ではない」とその寄場同心は云っていた、「――さきほどの申渡しをいまいちど聞かせるが、無頼、無宿の者は、ほんらい佐渡ヶ島へ送るべきところ、お上の格別なる御仁恵をもって、加役人夫に仰せつけられたものである」 この寄場は他の牢とは違い、収容者を罪人とはみなさない。
— 山本周五郎 『さぶ』 青空文庫
人は彼が後に国法をまげ王位を窺ったからといって、彼の仁恵と武勇との追憶を禁止したか。
— ESSAIS DE MONTAIGNE 『モンテーニュ随想録』 青空文庫