懐郷
かいきょう
名詞
標準
nostalgia
文例 · 用例
突兀と秋空を劃る遠山の上を高く雁の列が南へ急ぐのを見ても、しかし、将卒一同|誰一人として甘い懐郷の情などに唆られるものはない。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
あゝ帰りたい、帰りたいと山県は懐郷の情に堪へないやうに幾度もいふ。
— 田山花袋 『重右衛門の最後』 青空文庫
『越後出るときやヨー、涙も出たがヨー』なぞと懐郷の念にたへないといふやうな面持ちで歌ひながら歩いてゐる。
— 野口雨情 『大利根八十里を溯る』 青空文庫
そして弘雄は更に妻のお葉には、自分が帰朝する日までの期待と太郎の教育に就いて書いたのであつたが、つい感情的になつて恋々の言葉や懐郷の念があまり露はに湧き過ぎて堪え難く、卒業をしたら早速帰国し度い念願を持つてゐるといふだけの意味に書き換へたりした。
— 牧野信一 『サクラの花びら』 青空文庫
それはエキゾチックではなくて、懐郷的であった。
— 倉田百三 『光り合ういのち』 青空文庫
そろそろ自分も懐郷病に罹ったのか、それを考えた時は実に忌々しかった。
— 島崎藤村 『新生』 青空文庫
「千村君の居る頃には、懐郷病の話なぞもよく出ましたっけ。
— 島崎藤村 『新生』 青空文庫
驚くべく激しい懐郷病に罹った同胞の話なぞも高瀬の口から出て来た。
— 島崎藤村 『新生』 青空文庫