空漠
くうばく
形容詞-たる副詞-と名詞形容動詞
標準
vast
文例 · 用例
空漠な広野の果を見るように何一つ著しい目標のないだけに、昨日歩いて来た途と今日との境が付かない。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
もしそれこれを憶うていよいよ感じ、瞑想(めいそう)静思の極にいたればわれ実に一呼吸の機微に万有の生命と触着するを感じたりき もしこの事、単にわが空漠たる信念なりとするも、わが心この世の苦悩にもがき暗憺たる日夜を送る時に当たりて、われいかにしばしば汝に振り向きたるよ、ああワイの流!
— 国木田独歩 『小春』 青空文庫
若い画家の眼の前に立てられてある一大画布には、ただ絵の具の厚い重なりがあるばかりで、これが女の像とはもちろん受け取れないばかりでなく、却って、空漠たる画面が寒さを襲うばかりでありました。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
いつでも彼女は、午後の帰宅の時間になると、その空漠とした部屋を考え、毎日毎日同じ位地に、変化もなく彼女の帰りを待ってる寝台や、窓の側に極りきってる古い書卓や、その上に載ってる退屈なインキ壺などを考え、言いようもなく味気なくなり、人生を憂鬱なものに感ずるのだった。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
そして日向の砂丘に寢ころびながら、海を見てゐる心の隅に、ある空漠たる、不滿の苛だたしさを感じてくる。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
海を見る心は空漠として味氣がない。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
そして日向の砂丘に寝ころびながら、海を見てゐる心の隅に、ある空漠たる、不満の苛だたしさを感じてくる。
— 萩原朔太郎 『散文詩集『田舎の時計 他十二篇』』 青空文庫
海を見る心は空漠として味気がない。
— 萩原朔太郎 『散文詩集『田舎の時計 他十二篇』』 青空文庫
標準
vague