揺蕩
ようとう
名詞動詞-サ変
標準
shaking
文例 · 用例
薄みどり色の光線を浴び、すきとほるやうなかぐはしい海草のやうにも見え、ゆらゆら揺蕩しながらたつたひとりで歩いてゐる。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
わたくしは、と見こう見して、ときどきは、その美しさに四辺を忘れ、青畳ごと、雛妓とわたくしはいつの時世いずくの果とも知らず、たった二人きりで揺蕩と漂い歩く気持をさせられていた。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
性慾の敏感さ――凡て、執拗なもの、陰影を持つもの、堆積したもの、揺蕩するもの等がなつかしく、同時にそれ等はまたかの女に限りなく悩やましく、わづらはしかつた。
— 岡本かの子 『川』 青空文庫
かの女が今しがた忍び出て来た深窓の家には、二組の夫婦と、十人あまりの子供達が堆積し、揺蕩し、かの女もそのなかの一人であることが、此頃かの女には何か陰のある辱かしさ、たつた一人の時に殊にも深く感ずる面伏せな実感である。
— 岡本かの子 『川』 青空文庫
机から急に立上つた身体の動揺から私は軽微の眩暈がしたのと、久し振りにあたる明るい陽の光の刺戟に、苦しいより却て揺蕩とした恍惚に陥つたらしい。
— 岡本かの子 『蔦の門』 青空文庫
それは一度|揺蕩とした世界を覗いたあとのものだけにその索寞感はむしろ、更に強い。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
その薬を飲み、薬の作用が現れ出し、わたしを何もかもを一念に似る揺蕩とした薬効の世界へ融し漂わして呉れる気分に乗じてきょうやっとわたしは揮毫し始めた。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
お兄様の研究も次第に嶮しい径をお辿りになるのでせうが、揺蕩ふことなく「学びの小暗い径」を強い脚どりでお進みになるやうに心からお希ひ申します。
— 牧野信一 『〔婦人手紙範例文〕』 青空文庫
作例 · 標準
船は、荒波に揺蕩いながら港を目指した。
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風に揺蕩うカーテンが、夏の訪れを感じさせた。
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彼女は、水の底で揺蕩う水草のように儚げだった。
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