他念
たねん
名詞
標準
thinking about something else
文例 · 用例
忠は敬である、その敬は「心を一つの事に集中させ、他にそらさないこと(主一無適)」と先人が解釈しているが、実に妙釈であって、一を主として他に適かない、散乱動揺すること無く、ただそれ一ツで、夾雑物無く、他念の無いのが忠である。
— 幸田露伴 『一貫章義(現代訳)』 青空文庫
他念無しと云っても、疲労時の茫然としたようなのは忠では無い、一を主として他を忘れ、粛然となって心が一直線となっているようなのが忠である。
— 幸田露伴 『一貫章義(現代訳)』 青空文庫
この間蛇は、栗鼠を見詰めて他念なく、人これに近づくもよほど大きな音せねば逃げず、最後に栗鼠蛇の方へ跳び下りるを、待ってましたと頂戴しおわると。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
)――(叱ツ、他念なく/\、脚の踏み所、力の入れ具合、細かく呼吸して……) 純吉は、それらの言葉でわれと自らを励ませながら、注意深く壁に添うて一歩一歩静かに、靴を挙げては降ろした。
— 牧野信一 『明るく・暗く』 青空文庫
ただ土鼠のように、命のある限り、掘り穿っていくほかには、何の他念もなかった。
— 菊池寛 『恩讐の彼方に』 青空文庫
お前はこれから他念なく出精して、植木屋として一人前の職人になることを心掛けねばならないと、私はくれぐれもいい聞かせた。
— 岡本綺堂 『二階から』 青空文庫
鶴見はそのおぎろなき慈悲に身を染めて、さながら如来智をでも授かったように他念なく随喜渇仰していたものである。
— ――黙子覚書―― 『夢は呼び交す』 青空文庫
本来、目が見えませんから、山へ登りましても人寰の展望をほしいままに致そうとの慾望もござりませず、山草、薬草の珍しきを愛でて手折ろうとの道草もござりません、ただ一心に神仏を念じ、他念なく登ってくだるまでのものでございます。
— 胆吹の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
作例 · 標準
彼は仕事中も他念なく、ただひたすら目の前の書類に向き合っていた。
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「他念があってはいけない。今は集中して精神を統一しなさい。」
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勉強している最中に、どうしても今日の夕飯のことが他念に浮かんでしまう。
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