遺制
いせい
名詞
標準
institutions bequeathed from the past
文例 · 用例
實に其の言の如く、徳川公は其の臣下に大祿厚俸を與へなかつた人で、其の遺制は近代に及び、維新前に至つて、徳川氏の譜第大名が、皆小祿薄俸の徒であつたため、眞に徳川氏の爲に力を致さんとするものの力は微に勢は弱くして、終に關ヶ原の一戰の敗者たる毛利島津等の外樣大名の爲に壓迫されたのである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
実にその言葉のように、家康公はその臣下に大禄厚俸を与えなかった人で、その遺制は近代に及び明治維新前になって徳川氏の譜代大名が皆|小禄薄俸の徒であった為、真に徳川氏の為に力を尽くそうとする者の力が微小で勢いが弱く、終に関ヶ原の敗者である長州藩や薩摩藩等の外様大名の為に圧迫されたのである。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
當年の遺制に據りて、明治三十五年再建する所に係る。
— 大町桂月 『白河の七日』 青空文庫
もちろん封建的遺制の問題なんだ。
— 島木健作 『第一義の道』 青空文庫
封建遺制の錯雑を一掃して、かの宣言書にいわゆる単一不分の共和国を立つるは、日本の維新改革に近似して内部における国民的精神の発達と言うべし。
— 陸羯南 『近時政論考』 青空文庫
秋晩巡北邑先王遺制省秋収 行到辺荒意更愁 村似癈人痿不起 民如墜葉散難留 寒流病渉纔横木 衰草救飢猶牧牛 非有問窮連日苦 那看紅樹百峰秋 章句のうち、此郷の土俗風物の真体を伝へながら、しかも暗涙を以て民病の状を喝破して余す所がない。
— 中村憲吉 『頼杏坪先生』 青空文庫
いつか使に来た何如璋と云う支那人は、横浜の宿屋へ泊って日本人の夜着を見た時に、「是古の寝衣なるもの、此邦に夏周の遺制あるなり。
— 芥川龍之介 『開化の良人』 青空文庫
私は日本は堕落せよと叫んでいるが、実際の意味はあべこべであり、現在の日本が、そして日本的思考が、現に大いなる堕落に沈淪しているのであって、我々はかかる封建遺制のカラクリにみちた「健全なる道義」から転落し、裸となって真実の大地へ降り立たなければならない。
— 坂口安吾 『堕落論〔続堕落論〕』 青空文庫
作例 · 標準
現代社会の階層意識の根底には、いまだに封建的な遺制が色濃く影を落としている。
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「なるほど、この非効率な意思決定プロセスこそ、長年この組織に巣食う旧体制の遺制というわけか」と、新任の役員は溜息をついた。
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その国の教育制度には、独立後もなお宗主国の統治手法という負の遺制が強く残っていた。
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「まさか、現代においてこれほど露骨な家父長制の遺制に出くわすとは思わなかった」と、彼女は古い因習の残る村の光景に絶句した。
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