名残り
なごり
名詞
標準
文例 · 用例
読者には、あまり面白くなかったかも知れませんが、私としては、少し新しい試みをしてみたような気もしているので、もう、この回、一回で読者とおわかれするのは、お名残り惜しい思いであります。
— 太宰治 『女の決闘』 青空文庫
私はほんとうに名残り惜しく思い、まっすぐに立って合掌して申しました。
— 宮沢賢治 『雁の童子』 青空文庫
五六つぶを名残りに落してすばやく引きあげて行ったという風でした。
— 宮沢賢治 『谷』 青空文庫
就いては自分の屋敷を他人に譲り、そのほかの家財なども売り払って百両ほどの金をこしらえ、いよいよ二十八日には江戸を立つという間際になって、奥様のお千恵さんはお名残りに湯島の天神さまへ御参詣して来ると云って、二十五日のひる過ぎに屋敷を出て、途中で女中を撒いてしまって、ゆくえ知れずになりました。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
奥様も奥様だが、殿様も殿様で、これも江戸のお名残りだというので吉原へ昼遊びに行っている。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
T「名残りは尽きぬ!
— 山中貞雄 『中村仲蔵』 青空文庫
それは大阪の市が南へ南へ伸びて行こうとして十何年か前までは草深い田舎であった土地をどんどん住宅や学校、病院などの地帯にしてしまい、その間へはまた多くはそこの地元の百姓であった地主たちの建てた小さな長屋がたくさんできて、野原の名残りが年ごとにその影を消していきつつあるというふうの町なのであった。
— 梶井基次郎 『のんきな患者』 青空文庫
いずれは明治初期の早急な洋物輸入熱の名残りであろう。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫