甘苦
かんく
名詞
標準
sweetness and bitterness
文例 · 用例
「まあこんなところがあるの」かの女は閃く感覚を「猫の瞳」だの「甘苦い光の澱み」だのと手早くノートしていると、規矩男は浮き浮きした声で云った。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
私にも何となく甘苦い哀愁が抽き出されて、ふとそれがいつか知らぬ間に海の上を渡っている若い店員にふらふらと寄って行きそうなのに気がつくと、「なにを馬鹿らしい。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
滝は、「ナンシー・リー」の単純な朗らかさに加へて、独特なそこはかとない一脈の甘苦い哀音が漂うてゐる韻律に酔はされて、今もなほそれが口笛を吹く時の習慣になつて遺されてゐた。
— 牧野信一 『雪景色』 青空文庫
青い眼のくぼんだ誰が見ても不愉快な顔つきをした千世子は甘苦い様な臭剥を飲みながらこんな事を云った。
— 宮本百合子 『千世子(三)』 青空文庫
寧ろ「人間が嫌ひ」であることを悲しむ、その甘苦い涙こそ、あなたの有つてゐる詩なのだ。
— ――「葡萄畑の葡萄作り」――序 『訳者より著者へ』 青空文庫
甘苦い微笑が唇に浮んだ。
— 岸田國士 『双面神』 青空文庫
それでも勤めますと後二三|日は身体が利かんくらいだという、余程稽古のむずかしいものと見えます。
— 三遊亭圓朝 『梅若七兵衞』 青空文庫
窓のさくらはきれいだがわき見はならぬとんてんかんなにがおもてを通らうがよそ見はならぬとんてんかんくにのかあさん思ひ出し淋しくなつてもとんてんかん鍛冶屋の小僧さんほそ腕に力をこめてとんてんかん。
— 童謠集 『歌時計』 青空文庫
作例 · 標準
「人生の甘苦をなめてきた人の言葉は、重みが違うね」と年配のバーテンダーがグラスを磨きながら呟いた。
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この地酒は一口目にフルーティーな甘みが広がり、後味には心地よい甘苦が残る。
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駆け出しの役者として過ごした下積み時代の甘苦は、今の彼にとってかけがえのない財産だ。
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二人で育てた事業がようやく軌道に乗った今、かつての甘苦もいい思い出として語り合える。
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