寒苦
かんく
名詞
標準
suffering caused by the cold
文例 · 用例
人間はそれぞれの明白な心の目標があって、それに向かわんために充分納得して寒苦と戦っているが、犬はなんのためだか、ちっともわからないで、ただたよる主人の向かう所なら、さもうれしげに死の雪原に突進するのである、犬でもやはり苦しくなくはないであろう。
— 寺田寅彦 『映画雑感(1)』 青空文庫
景隆師を出して之を救わんとすれば、燕王は速く居庸関より入りて北平に還り、景隆の軍、寒苦に悩み、奔命に疲れて、戦わずして自ら敗る。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
飢餓も寒苦も孤独の苦しみも、祖国の冷淡も、己の苦節がついに何人にも知られないだろうというほとんど確定的な事実も、この男にとって、平生の節義を改めなければならぬほどのやむを得ぬ事情ではないのだ。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
眼に入る冬の牡丹花に千鳥の啼き声をききつけ、寒苦の思いを雪のほととぎすにまで持って行った古人の想像は、やはりこの消息を語っている。
— 島崎藤村 『雪の障子』 青空文庫
寒苦、寒苦――この避け難い戦争の悩みの中で、世界の苦の中で、草木の再生がやがて自分等の再生であることを願っていないものは殆ど無いかのように見えた。
— 島崎藤村 『新生』 青空文庫
熱情と之れを押へんとする弱き心とは、終に私をして此の寒苦の雪つもる径を選ばしめた。
— 前田普羅 『普羅句集』 青空文庫
それでも勤めますと後二三|日は身体が利かんくらいだという、余程稽古のむずかしいものと見えます。
— 三遊亭圓朝 『梅若七兵衞』 青空文庫
窓のさくらはきれいだがわき見はならぬとんてんかんなにがおもてを通らうがよそ見はならぬとんてんかんくにのかあさん思ひ出し淋しくなつてもとんてんかん鍛冶屋の小僧さんほそ腕に力をこめてとんてんかん。
— 童謠集 『歌時計』 青空文庫
作例 · 標準
「ああ、寒い……」隙間風の入るボロアパートで、彼は毛布にくるまりながら冬の寒苦に耐えていた。
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吹雪で立ち往生した列車の中で、乗客たちは暖房の切れた車内の寒苦を励まし合ってしのいだ。
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北国の貧しい漁村を舞台にしたその小説には、自然の猛威と闘う人々の寒苦がリアルに描かれていた。
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暖房代を節約するために厚着をして過ごす日々は、都市生活の中で味わう現代の寒苦ともいえる。
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