裏木戸
うらきど
名詞
標準
back door
文例 · 用例
二、三ヶ月程たって後息子の顔が店に見えぬようになって、店の塵を払う亭主は前よりも忙がしげに見えたが、それでもいつも同じような柔和な顔つきで、この男のみは裏木戸に落つる梧葉の秋も知らぬようであった。
— 寺田寅彦 『やもり物語』 青空文庫
S=庭 久六、裏木戸から逃げ去る。
— 山中貞雄 『森の石松』 青空文庫
買ってくれそうな家の付近では繰り返し往復して、それでも買わないとあきらめて行ってしまったのは昔のことで、今ではやはり裏木戸から台所へはいって来て、主人や主婦を呼び出すのが多いようである。
— 寺田寅彦 『物売りの声』 青空文庫
この曲の終りに近づいた頃に、誰か裏木戸の方からはいって来て縁側に近よる気はいがした。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
午後になつてすでに影になつてしまつた街道を歩いてゐて、家と家との間から、また暗い家のなかに開いてゐる裏木戸から、この一帶の平地をちらと見た時程平和な氣持のするときはない。
— 梶井基次郎 『闇への書』 青空文庫
此方は裏木戸のあき地にて、むかいに小さき稲荷の堂あり。
— 泉鏡花 『龍潭譚』 青空文庫
朝九時ごろ出入りのさかな屋が裏木戸をあけて黙ってはいって来て、盤台を地面におろす、そのコトリという音が聞こえると、今まで中庭のベンチの上で死んだように長くなって寝そべっていた猫が、反射的に飛び起きて、まっしぐらに台所へ突進する。
— 寺田寅彦 『試験管』 青空文庫
眼の届く限りに姿は見えないなと思う間もなく収穫小屋の裏木戸が開いて、斑入りの白い羽を半分開いて前に行くものの背を乗り越し乗り越し走り出た一群の鶏といっしょに、二人の童女が現われ出た。
— 有島武郎 『フランセスの顔』 青空文庫
作例 · 標準
例句