冷厳
れいげん
形容動詞名詞
標準
grim
文例 · 用例
石狩の野は雲低く迷ひて車窓より眺むれば野にも山にも恐ろしき自然の力あふれ、此処に愛なく情なく、見るとして荒涼、寂寞、冷厳にして且つ壮大なる光景は恰も人間の無力と儚さとを冷笑ふが如くに見えた。
— 國木田独歩 『空知川の岸辺』 青空文庫
男子志を立て理想を追ふて、今や森林の中に自由の天地を求めんと願ふ時、決して女々しくてはならぬと我とわが心を引立るやうにしたが、要するに理想は冷やかにして人情は温かく、自然は冷厳にして親しみ難く人寰は懐かしくして巣を作るに適して居る。
— 國木田独歩 『空知川の岸辺』 青空文庫
たとひ一家の事情は余の開墾の目的を中止せしめたにせよ、余は今も尚ほ空知川の沿岸を思ふと、あの冷厳なる自然が、余を引つけるやうに感ずるのである。
— 國木田独歩 『空知川の岸辺』 青空文庫
冷厳の鑑賞には、とても堪えられる代物ではないのである。
— 太宰治 『ろまん燈籠』 青空文庫
月の前では、まつたく人間界の饒舌などほしいまゝにしてはすまないやうな冷厳な感じにうたれますのね、まして恋する身には……まだ以上、このラブレターの続きはあるのですが、もはや書き続ける根気もありません。
— 岡本かの子 『或る男の恋文書式』 青空文庫
決してお怒りの御口調ではなかつたのですが、けれどもその澱みなくさらりとおつしやるお言葉の底には、御母君の尼御台さまをも恐れぬ、この世ならぬ冷厳な孤独の御決意が湛へられてゐるやうな気が致しまして、幼心の私まで等しく戦慄を覚えました。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
それが、なんとも言えず、骨のずいに徹するくらいの冷厳な語調であった。
— 太宰治 『水仙』 青空文庫
それを聞いて僕も、お正月の、あの「いただきません」の異様な冷厳が理解できた。
— 太宰治 『水仙』 青空文庫
作例 · 標準
裁判長は冷厳な面持ちで、被告人に対して重い判決を言い渡した。
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冬の山々は冷厳な雰囲気を漂わせており、不用意に近づく者を拒絶しているかのようだ。
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どれほど情に訴えかけても、冷厳な事実の前では言い逃れなどできなかった。
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