遺恨
いこん
名詞
標準
grudge
文例 · 用例
今も田町の重兵衛の子分に逢いましたが、重兵衛はなにか色恋の遺恨じゃあねえかと、専らその方を探っているそうです。
— 鬼娘 『半七捕物帳』 青空文庫
五十五万石の大目付、丸潰れと来たなあ」「それでももしや、お熊の縁談から起った意趣、遺恨じゃないかと思うて、襟半の方へ探りを入れてみると、花婿の半三郎も、今は隠居しとる父親の半左衛門夫婦も、神信心の律義者という評判に間違いないらしい」「それは毛頭間違いない。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
私はその数をチャンと記憶して遺恨骨髄に徹していた。
— 夢野久作 『ざんげの塔』 青空文庫
さして意趣遺恨の有る覚えとてもござりませず、……何また、この上に重ねて乱暴をしますようなれば、一旦はちと遠慮がござりましてわざと控えましたようなものの、いざとなれば、何の貴女、ただ打たれておりますものか。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
加ふるに当時遼東半島還附の遺恨問題あり、心ある国民は臥薪甞胆の意気燃ゆるが如く、何時かは世界第一等国民となつて、彼等を見返し呉れんと奮励努力せしが故に、十年の歳月甚だ長からずと雖も、其間に日本の国力は驚くべき発展を為せしなり。
— 押川春浪 『警戒すべき日本』 青空文庫
余り唐突な狼藉ですから、何かその縁組について、私のために、意趣遺恨でもお受けになるような前事が有るかとお思われになっては、なおこの上にも身の置き処がありませんから――」 七「実に、寸毫といえども意趣遺恨はありません。
— 泉鏡花 『革鞄の怪』 青空文庫
又それが遺恨の本になるといふことも、成程野暮な人の間に有り得るにしても、皆が一致して手甚く将門を包囲攻撃するに至るのは、何だか逆なやうである。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
此事あつてより将門は遺恨已み難くなつたであらう、今までは何時も敵に寄せられてから戦つたのであるが、今度は我から軍を率ゐて、良兼が常陸の真壁郡の服織、即ち今の筑波山の羽鳥に居たのを攻め立つた。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫